人の動きが制限されているアメリカの緊急事態下では「ドライバー業」の人々が新たな職を求めて行動しています。日本でも、人を運ぶ職業の人たちが「人以外のモノ」を運ぶ仕事にシフトチェンジし始めているようです。普段、私たちがお世話になっている運転手さんたちの「緊急事態での活動」にも注目してみませんか?
スクールバスは子どもではなく「貧困世帯へ食料を運ぶバス」へと変わった
アメリカの場合、郊外では多くの児童、生徒がスクールバスを利用します。学校が一斉に休校になり、スクールバスの運転手さんたちは仕事が無くなってしまいました。しかし、次の週からは、子どもたちではなく「別の物」を乗せてスクールバスはまた走り始めました。それは各自治体から支給される「給食」です。
アメリカではある一定の収入以下の家庭には、無料で学校給食が提供されます。学校でのランチが日々の食生活を支えている子どもたちも少なくありません。学校が休校になったのとほぼ同時に、給食が必要な家庭はオンラインや電話で申し出るようにと連絡が行き渡り、今ではスクールバスが給食を各家庭に毎日配っています。
また、私がボストンからニューヨークへの移動の際によく利用している長距離バスは、現在は運行を停止していますが、その代わりに新型コロナウィルス感染者の多い地域で、医療従事者や軍関連スタッフ専用の移動手段として役に立っているようです。人の移動が制限されるようになると、まず打撃を受けるのがドライバー業界ですが、アメリカではいち早く、今まで乗せていた人とは違う人やモノを乗せて、バスは運行を維持しています。
日本でもタクシー業界が「人以外のモノ」を運び始めた
日本で大打撃を受けているドライバー業界と言えばタクシーかもしれません。しかしこのタクシー業界も「人以外のモノ」を乗せて走り始めたようです。横浜、東京エリアでタクシー、ハイヤーを走らせる「三和交通」は、買い物代行サービスを始めました。名付けて「おつかいタクシー」です。
料金は横浜エリアで30分2860円〜、東京・三多摩エリアでは30分3110円〜。「自分が乗るわけじゃないのに、少々お高めでは?」と思う人もいるかもしれませんが、スーパーや薬局などでは「3密」が必ず防げるとは限りませんし、高齢者が同居している、もしくは持病や手術後などで免疫力が下がっている人は、絶対に感染を防がなければいけません。そのための方法の一つとして、タクシー会社の買い物代行サービスを利用するのも良いと思います。いつも行くスーパーで買いたい商品をお願いできるので、慣れない宅配サービスを一から登録するよりは面倒ではないかもしれません。自分は必要なくても、高齢の親に出歩いて欲しくない人は、こういったタクシー会社のサービスを利用して、親の買い物代行をしてあげても良いでしょう。
他にも、飲食店のテイクアウトのデリバリーや弁当の宅配などを、全国のタクシー会社が続々と始めているようです。タクシーで出前を頼めば、タクシー業界だけでなく、飲食業界をサポートすることにもつながります。あなたのお近くや、普段から利用するタクシー会社が最近新たなサービスを始めていないか、一度チェックしてみてはいかがでしょう?