「兄弟車」というクルマの関係があります。車名は全然違うのに「○○と△△は兄弟車種です」と説明されても「クルマで兄弟ってどういうこと?」と、疑問に思うこともあるのではないでしょうか。
○○は違うけど中身は一緒のクルマたち
「兄弟」と言うだけあって、同じメーカーで作られ、基本的には同じクルマであるのが兄弟車です。違う点は「車名」と「ちょっとしたデザイン」だけ。例えば、トヨタの「アルファード」と「ヴェルファイア」は、フロントマスク(顔)のデザインが違いますが、あとは車名のエンブレムが違う程度で、グレードやボディカラー設定もほとんど同じです。
他にもトヨタには「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」「タンク/ルーミー」などの兄弟車種が存在します。その昔、まだブレイク前の木村拓哉さんがCMに登場していた初代「RAV4」には「RAV4L」と「RAV4J」の兄弟車が存在しましたが、違うポイントはフロントグリルのデザインと、リヤ(後方)のエンブレムがLかJかの違いだけ。販売当時、私はトヨタ自動車のショールームに勤めていたので、デザインを見ただけでLとJの区別がつきましたが、そんな細かいことを知っているのはトヨタ関係者か、よほどの自動車オタクの皆さんだけだったでしょう。
なぜ兄弟車が存在するの?
なぜ昔から兄弟車が存在するのかと言えば、同じ車種でも名前を変えて違うチャネル(販売系列)で売りたいからです。今でも兄弟車が存在するトヨタの場合、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の4つの系列店があり、それぞれ扱う車種が違います。もし、人気車種の「アルファード」が、一つの販売系列でしか扱っていなかった場合、それ以外の販売店のお客さんが「なんだ、今の店でアルファードへは乗り換えられないのか」と、他チャネルへ流れてしまう可能性もあります。そこで、複数のチャネルが車名とデザインを少し変えただけの兄弟車種を扱うことで、お客さんを逃がさないようにしているのです。
もし、少しのデザインの違いや、車名にこだわらなければ、兄弟車種を競合させて二つの販売店で商談を進めるのもアリです。販売店スタッフは、兄弟車種であれば、お客さんが比べて検討するのは百も承知。両方の見積もりを取って、条件が良い方を買う! と宣言してしまえば、販売スタッフも値引きを頑張ってくれるかもしれません。せっかく兄弟車なのに、どちらかしか検討しないのはもったいないですよ。