緊急事態宣言の延長から二週間以上が経過しましたが、東京ではどうやら街中に初心者ドライバーが増えているようです。ペーパードライバーだった人がハンドルを握り始めたり、サンデードライバーが平日も運転したり・・。どうしてそのようなことが起こっているのでしょうか。
都心部で公共交通機関を使いたくない人が増えているから
現在アメリカ在住の私ですが、オンライン飲み会はこちらでも流行しています。ゴールデンウィークは日本で外出自粛中の友人たちとビデオ通話でたくさん話したのですが、そんな中で気になる話題がありました。緊急事態宣言の発令以降、どうやら東京には初心者マークを付けたドライバーが増えているようです。
そもそも初心者マークは「免許取得後一年間」が表示義務期間ではありますが、一年を過ぎて表示していても違反にはなりません。自分の運転が不慣れだと感じていれば、ずっと付け続けていても何も罰則は無いのです。毎年、春休みに運転免許を取得した学生ドライバーが増えるので、この時期はいつもより若葉マークを多く見かけるのですが、それよりも今年は「なんだか初心者が多い」のだとか。
東京などの都心部では、運転免許を持っていても実際には運転していないペーパードライバーが多くいます。そんな人たちが最近、新型コロナウィルスへの感染を恐れて公共交通機関の利用を避けているのはもちろん、三日に一回と推奨されている買い物も、一回に買う商品が多くなり、クルマでなければ持ち帰れないという状況になっているからでしょう。「クルマに乗れば『3密』は避けられるし、大量の食材も一度に積んで持って帰れるじゃないか!」と、ペーパードライバーの皆さんが気づき、都心の街中にも初心者が増え始めたのです。「自分が運転すれば、いろいろなことが解決できる」と、重い腰を上げた人も多いかもしれません。だから、本当に免許取得一年以内のドライバーではなく「実は免許を取ってからだいぶ年数は経っているけど、このコロナ事情で仕方なく運転をまた始めたから、初心者同然に温かく見守ってほしいドライバー」が若葉マークを付け、恐る恐る東京の道路を走っているのだと考えられます。
こんな時だから「運転できること」の有り難さをもう一度かみしめてみませんか?
私自身、アメリカに住むことになってから一番助けられたのは、クルマを運転できることだったと改めて感じます。ただでさえアメリカの郊外は公共交通機関が少なく、クルマが無いとどこへも出かけられない「クルマ社会」であるからなのはもちろんですが、外出禁止令が出て、買い物は最低限に留めなければいけなくなり、クルマで一週間分の食材を買いに出かけるのが日常となった今、もし免許が無かったらどんな暮らしをしていただろうと、ゾッとする瞬間もあります。
日本ではクルマを運転しなくても、免許が無くても、生きていくことに支障を感じずに過ごせる地域もたくさんあります。若者の免許取得率が年々下がっていることは毎年メディアを騒がせる話題ですが、運転しなくても生きていけるのは、あくまでも「平時」だけであると改めて感じるのは、こんな緊急事態だからではないでしょうか。
クルマは災害時には車中泊などで「住まい」として機能するだけでなく、未知のウィルスとの戦いでは「感染を防ぐためのツール」としても役に立つと気づき始めた人も多いはずです。他人との接触を減らしたり、買い物の回数を減らすことができているのは、クルマを運転できる人だったのだと。きっと「コロナ後」の世界では、クルマのありがたみがさらにアップすると、私は確信しています。