TOPページ > プロが指南!お掃除コラム > 赤ちゃんにも安心のお掃除「ナチュラルクリーニング」
2017/05/08
みなさんはお掃除の際に使う洗剤にどのような成分が含まれているか、気にしたことはありますか? おそらく、ほとんどの方はさほど気にせずに使っているではないでしょうか。しかし、実は多くの洗剤類には化学薬品が使われているのが実情です。使い方を間違わずに使用すれば人体に害はないとしても、小さな赤ちゃんがいるご家庭などでは不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そんななかで近ごろ話題になっているのが「ナチュラルクリーニング」という、健康やエコに配慮したお掃除方法です。今回の「プロがアドバイス!今やっておきたいハウスクリーニング指南」では、この注目のクリーニング術についてご紹介します。
「自然のお掃除」という名前のついたナチュラルクリーニングは、欧米などで行われている昔ながらの掃除方法。重曹やクエン酸など、化学薬品を使用しないナチュラルな素材を使ったクリーニング方法のことをいいます。
重曹は、どら焼きなどのふくらし粉として、料理に、生ゴミや靴箱などの脱臭に、様々な用途で使われています。
お掃除においては弱アルカリ性の性質を活かし、換気扇やコンロ周辺の油汚れを落とすのに使います。スプレーボトルに水100mlに対し、重曹小さじ1杯を溶かして重曹水として油汚れにスプレーして使いましょう。また、重曹と水を2:1の割合で混ぜ、ペースト状にしたものを油汚れに貼り付けて放置すると効率良く油汚れを落とすことができます。
また、重曹はクエン酸水と混ぜると炭酸ガスが発生する性質を持っており、その発泡作用から排水溝などのぬめりを取り除くことができます。使い方は排気口に粉末状の重曹を振りかけ、その上からクエン酸水をかけて数分放置しましょう。発泡作用により汚れが浮き上がるため、洗い流せば簡単に汚れが落ちてきれいになります。
重曹よりさらに洗浄力が高く使いやすいナチュラルクリーニングのアルカリ剤として注目を集めているのが、セスキ炭酸ソーダです。重曹よりも水に溶けやすく、常温で長期間保存ができるという特徴を持っています。セスキ炭酸ソーダ水は、水500mlに対して小さじ1杯のセスキ炭酸ソーダでつくります。こちらもスプレーボトルに入れてキッチンなどに置いておくといいでしょう。
また、セスキ炭酸ソーダは、洗濯物の浸け置き洗いにも最適。洗濯機に水30リットルに対して大さじ2杯のセスキ炭酸ソーダを溶かして、そこへ頑固な油汚れが付いた洗濯物を数時間浸けておきます。あとは普通に洗濯機で洗うだけで、しっかり汚れを落とすことができます。
柑橘類の果実や梅干しなどに多く含まれる酸味の成分で、食品添加物やサプリメントの原料としてもおなじみです。名前のとおり、酸性の性質を持っており、水あかや石けんカスなど、アルカリ性の汚れを中和して落とすことができます。また、雑菌の脱臭にも有効。タバコのヤニや魚の生臭さなどのニオイ消しとしても活躍するでしょう。
よく使われるのは、クエン酸水です。つくり方は、水200mlに対して、小さじ1杯のクエン酸を溶かすだけ。スプレーボトルに入れて使います。
ナチュラルクリーニングのメリットは大きく2つ。以下でご紹介しましょう。
重曹やクエン酸は調味料としても使われる素材なので、洗剤と比較して、手で触ることはもちろん、もし口に入ったとしても安全です。とくに赤ちゃんは、いろんなものを触ったり、なめたりしてしまうので、洗剤には気を使いたいところ。ナチュラルクリーニングを実施することで赤ちゃんのいるご家庭でも安心してお掃除ができます。
また、ナチュラルクリーニングは洗剤を使用する清掃方法と比較して、お肌にもやさしいお掃除方法です。アトピー性皮膚炎や、掃除・洗い物による手荒れにお悩みの方にもオススメです。
セスキ炭酸ソーダや重曹といった素材は、自然環境にそのまま存在することのできる無機物。合成洗剤などの有機物は、微生物による分解「生分解(せいぶんかい)」が必要ですが、無機物はその必要がありません。そのため、洗剤よりも生物や環境、清掃箇所に負担をかけにくく、安心して使うことができるのです。
メリットが多く取りざたされるナチュラルクリーニングですが、いくつかデメリットもあります。
洗剤は用途別に販売されているように、ナチュラルクリーニングで使用する素材と比べてお掃除が専門分野。洗剤を使用した清掃方法よりナチュラルクリーニングの方が洗浄力は劣ってしまいます。特に発生してから時間の経った頑固な汚れに対しては洗剤ほどの仕上がりは期待できない可能性があります。
市販されている洗剤はそのまま使用できるものがほとんどですが、ナチュラルクリーニングの場合は水に溶かすなど、使用にあたり、準備が必要になります。作り置きしておいたとしても、保存期間は洗剤より短いため、使用するに当たってはひと手間かかることになります。
ナチュラルクリーニングは掃除箇所や汚れの状態、掃除するタイミングなどを考えて、活用することで効果を発揮します。軽度の汚れが付きやすく、赤ちゃんの手が届く範囲に活用するなど、ナチュラルクリーニングを日常のお掃除に工夫して取り入れる事で安全で衛生的なお掃除を実践することができます。人体にも環境にもやさしい安心のお掃除で、家中ピカピカ、気持ちもスッキリうれしい暮らしを実現しましょう。