みんながみんな「大きなクルマ」を求めているとは思えないのですが、日本車はどんどん「巨大化」が進んでいます。最近よく「3ナンバー化」という言葉をクルマのニュースで見かけるようになりました。
流行り? の「幅広感」はありがた迷惑?
「3ナンバー化」とは、それまで小型乗用車(5ナンバー)枠のサイズであったクルマが、モデルチェンジを経てサイズが大きくなり3ナンバー登録になることです。「全長が4.7m」「全幅(車幅)が1.7m」「全高が2.0m」「排気量2.0L」のどれか一つを超えると3ナンバーになりますが、最近はこの「全幅1.7m」を超えるクルマが増えてきたと感じます。
そもそも、5ナンバー車は日本の狭い道路事情に合わせた「小型」であることが良しとされたサイズ。私の実家は祖父が昭和30年頃に購入した「昭和の分譲地」であるため、道路がクルマの走行を前提として区画整理がされていません。幅が4mあるかないかの道では、やはり5ナンバーサイズが安心して取り回せました。
そのため父は「どれもこれも、最近欲しいクルマはみんな3ナンバー(車幅が1.7m超え)なんだよな〜」とつぶやいています。実家のご近所さんも仕方なく大きなクルマに乗っていますが、狭い曲がり角に太い電柱やブロック塀が残る道路を、皆さん恐る恐る運転している感じです。電柱にはクルマを擦ったと思われる白やシルバーの塗料がたくさん付いていますし、時々その方向から「ガリガリガリッ!」という音も聞こえてきます。
あのプリウスも初代は5ナンバーサイズでした
ずっと「5ナンバーサイズ」を守り続けてきたトヨタ「カローラ」も、最近発売された「カローラスポーツ」は堂々の3ナンバーサイズになりました。「大衆車であったはずのカローラが巨大化するべきではない」だの「カローラの枠を超えた進化」だの、自動車雑誌での賛否はありますが、私はやはり少し違和感を感じます。
そもそも日本初の量産ハイブリッドカー「プリウス」も初代は5ナンバーサイズの全幅1695mmでスタートしました。それなのにモデルチェンジの度にじわじわと大きくなり続け、最近は1760mmになっています。10年に1度程度しかクルマを買い替えない人にとっては、同じモデルなのに大きくなった感は否めないからです。
軽自動車ほど小さなクルマでは物足りないけど、自宅の近くの道路が狭いという人や、やっぱり家族のみんなが楽に運転できるクルマにしたいという人には、全幅が1.7m(1700mm)以下のモデルをおススメします。たった1cmでも、クルマは大きくなると運転感覚がだいぶ変わります。それに、クルマの巨大化に合わせて道路や駐車場が広くなっているワケでもありませんからね。