アクセルとブレーキの踏み間違い事故も増えている昨今、オートマチック車は誰でも安全に運転できるのか? という疑問を抱いている方もいるかもしれません。実は「オートマチック車なら当たり前」な動きを知らない初心者ドライバーによる単純な事故も多いようです。
Nレンジ(ニュートラル)の意味とは?
「Nレンジ(ニュートラル)ギア」の意味が分かっていないと予想外の事故を起こす可能性があります。ニュートラルとは、ギアがどこにも入っていないという意味ですが、簡単に言えばエンジンからのパワーがタイヤに伝わってはいないレンジのため、いくらアクセルを踏んでもクルマは前には進みません。「Dレンジ」にギアを入れないとクルマは前に進まないと教習所では習うはずです。
N→Dへとギアを入れ替えると、エンジンの回転パワーがタイヤへと伝わるギアがガチャンとハマります。ここでアクセルを踏んでエンジン回転数を上げたままギアをDレンジへ入れてしまうと、急にギアが繋がり、急発進してしまいます。よく、駐車場などで急発進をして周りの物にぶつかってしまう事故がありますが、アクセルとブレーキの踏み間違いではなく、発進しようとアクセルを踏んだとこを、Nレンジに入っていたので発進できず、慌ててDレンジにギアチェンジしてしまい、エンジンの回転を上げたままいきなりギアが繋がり急発進となってしまった、という事故もあります。
だから、Dレンジにギアを入れる時には「ブレーキを踏んだ状態で」が鉄則なのです。
「クリープ現象」で動揺してしまい事故を起こすケースも
ブレーキから足を離すと、自然にクルマが前に進む現象を「クリープ現象」と言います。オートマチック車の教習を受けたことのある人なら必ず知っているはずですが、クルマや運転する人によってどのくらいクルマが進むかは感覚的に違うものです。ただのクリープ現象を「アクセルを踏んでいる」と勘違いし、慌ててブレーキを踏んだつもりが、アクセルを踏んでしまっていたという事故もありますので、初めてのクルマを運転する時には「どのくらいクリープ現象でクルマが進むのか?」をしっかり把握する必要があります。
ちなみに、アメリカでは教習所を利用する人は少なく、16歳になると親が子どもの助手席に乗って運転の練習をさせ、学科試験と路上テストをいきなり受験するのが一般的ですが、多くの親がこの「クリープ現象」を最初に説明するのを忘れてしまうようです。
クリープ現象を教えられていない少年少女たちは、アクセルを踏まないとクルマは進まないと思い込んでいますが、ブレーキから足を離しただけでクルマが走り出していることに動揺してしまい・・
「ダディ! もうクルマが動いてる!どうしてなのっ!!」
と叫び、その声に助手席のパパもビックリして、
「2人で一瞬パニックになったよ。クリープ現象を教えるのを忘れていた」
という経験をする親子も少なくないのだとか。いきなり一般道で運転させることはあまりありませんが、ぜひアメリカのお父さん、お母さんたちも、子どもたちが初めてオートマチック車を運転する時には、まず「クリープ現象」を必ず教えてあげていただきたいものです。