毎日のように高齢者によるアクセルとブレーキの踏み間違い事故が報道されています。高齢ではないから、運転には自信があるから、と他人事のように考えていると、明日は我が身かもしれません。ほんの少しのきっかけで誰にでも起こり得る事故なのですから。
クルマが自分の予想と違う動きをすると……
交通事故分析センターによると、平成25年のペダル踏み間違いによる事故件数は6500件。
今年度のデータはまだありませんが、その件数は増えている気がしてなりません。そのうち、75歳以上の高齢者は他の年齢層の2倍~5倍と、非常に高い割合です。
さらに、高齢者の特徴としては「後退時」が多いそうです。TV報道でよく見かける、店舗の駐車場に停めたクルマがお店のガラスを突き破ってしまう事故は、後退するときのパニックによるものです。
なぜ「パニック」が起こるのかと言えば、クルマが自分の想定とは違う動きをしてしまうから。とくに前進時はブレーキを踏んだつもりで間違えてアクセルを踏んでしまうと、反射的にさらにアクセルを踏み込んでしまうことが多いのだとか。後退時はさらに体をひねる人も多く、前後の感覚が分からなくなり、ブレーキとアクセルを踏み間違えてしまうようです。
高齢者はとくに多いようですが、突然鳴り始めた携帯電話の着信音や、同乗の子どもの声に驚いたなど、年齢を問わずこの「パニック」は誰にでも起こり得る事態です。
■踏み間違いを防止、抑制する機能とは?
最近のクルマには多くの車種に「衝突被害軽減ブレーキ」と呼ばれる機能が搭載されています。これはクルマが進む方向に障害物があった場合、センサーが感知して「このまま進むとぶつかるよ!」と警告音でドライバーに知らせてくれる機能です。
また、事故の多いバック時の事故を防ぐため、ギアがリバースに入った状態で周辺に障害物を感知していると、自動的にエンジンの出力を抑えてブレーキをかけるシステムもあります。
今後、ドライバーの高齢化はどんどん進んでいきます。自分が乗るクルマ、親が乗るクルマ、子が乗るクルマを選ぶときには、こんな安全装置が付いているかをしっかりチェックすることも大切になってくるでしょう。
高齢者を中心とした事故により、免許返納などの対応も待ったなしの状況ですが、ドライバー自身が安全なクルマを選択することで事故を減らすこともできます。普通のおじいちゃん、おばあちゃんが加害者にならないために、私たちができることで、事故を減らせることを祈ります。