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ママからママへの恩返しプロジェクト 岡山県活動報告 ピースジャム代表 佐藤賢

西日本集中豪雨の被害状況の中でも深刻な被害に見舞われた岡山県倉敷市。
中でも真備町を中心とした乳幼児家庭にベビーモスリンをお届けするべく岡山県助産師会会長の東森先生にご協力いただきました。

災害直後は避難所に多くの母子が避難するも、安心して授乳できるスペースが確保できなかったり、赤ちゃんの夜泣きに対する周囲への気遣いなどが負担となり、多くの母子が避難所を後にして被災した自宅に戻り、無事だった2階部分で生活をしたり友人知人宅に居候し始めたそうです。そうなると行政でも母子がどこに避難しているか把握に時間がかかったり、支援の手や情報が届きにくかったりと、探すのが大変だとお聞きしました。
そこで岡山県助産師会の助産院ネットワークを通じて来院された母子や避難所の巡回時に会う乳幼児500人に直接ベビーモスリンをお届けできるようお話をし、協力に応じて頂くことになりました。
在庫が400枚ほど足りなかったので急ピッチでピースジャムのママスタッフが作りました。残業させてごめんねと何気なくママスタッフに言ったら「東日本大震災のときには西日本の方達に沢山助けていただいたので少しでも協力したいんです」と。
そんなスタッフのナイス心意気に思わずウルッとしてしまいます。
ちなみにこの500枚の製造期間は夏休みの時期と重なっていたので、小学校のお兄ちゃんたちも梱包のお手伝いや、ママの応援、そして8割は工房施設で遊ぶために訪れていました。とはいっても小さい子の面倒を同時に見てくれるので縫製作業に集中できるので大助かりです!

そんなこんなで・・・ついに500枚完成!
スタッフのお子さんのこの満足そうな顔(笑)!どやってます(笑)
さらにベビーモスリンと一緒に気仙沼のキンダークラブの親子の書いた「応援の寄せ書き」と、個別で渡す時用の「ママへの応援メッセージカード」も添えて岡山県助産師会へ発送いたしました。
各助産院や避難所の乳幼児に配布され、助産師さんも倉敷のママさん達も大変喜んでくれたと母子の写真を送ってくれました。※個人情報保護のため顔が写ってない画像を記載しています。

後日、今後予測される倉敷市の乳幼児世帯のニーズ調査と視察、そして支援物資配布のお礼を兼ねて倉敷市で東森先生にお会いしてきました。

向かって左が東森先生。東日本のママから西日本のママへ宛てた応援の手紙をお渡ししているところ。

この後東森先生と倉敷市内の数カ所の避難所へ赴き支援物資の配送と避難所に住まわれている住民へのヒアリングに同行させていただきました。

避難所内の通路を歩いていると…
おお!これは以前お届けしたキンダークラブの寄せ書きです。ありがたいことに大きく貼っていただいていました!ありがとうございます!
プライバシー保護の点から画像をお見せできないのが心苦しいのですが、この後3箇所の避難所に物資配送とヒアリング・傾聴の同行をしつつ「なぜ甚大な被害に繋がってしまったのか」について東森先生とお話をしました。
もともと岡山県は降水量1mm未満の日が全国第一位で「晴れの国岡山」とまで言われていて、温暖で自然豊かな環境の上に災害が少ない。それは一見豊かに感じるが、豊かさの陰で防災意識が低くなってしまったから今回の被害の拡大につながったのではないか。と東森先生は話されていました。他にも倉敷市の避難所に避難されている住民、学校職員や行政職員と様々な方とお話をしましたが、ほとんどの方が同じことを言っていました。
では津波被害の多い三陸沿岸部はどうだろうかと考えてみると、過去に何度も甚大な津波の被害を受けている地であっても、時間が経って住む人が入れ替わる頃には災害の記憶がただの記録に変わっていったことで防災への意識や関心が下がり、だから過去に何度も甚大な被害を被るので一緒なのではないかと思いました。恥ずかしながら僕がそうで、チリ津波によって家を流出したという話を幼少の頃より母親から聞いていてもどこか他人事でいて、そもそも自然の脅威が自分の平穏な日常をピンポイントで壊す想像なんて全くリアリティがなかったんです。でも実際に人が亡くなり、家財を失い、職場さえも失う現実に直面した時、自分の無力さと途方もない孤独と孤立を経験して初めて災害の恐ろしさを理解しました。だから災害の多い地であっても、そうでなくても、今生きている人が「命と暮らしを最大級に脅かす脅威」として災害を意識できれば守れるはずの命や暮らしはきっと守れる。その上でどう意識付けて行動するかと考え続けていくことが今を生きる人にとっての意義ある「防災」に繋がっていくのではないかと改めて考えさせられました。

文末になりますが、岡山県助産師会様は会長自らが汗をかいて現場で子育て支援を精力的にされている団体です。直接現場に直結する寄付や物資支援の受付も行っておりますので、ご興味・ご関心をお持ちの方はホームページをご覧くださいませ。
https://www.okayama-josanshi.com

皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。