ハウスダストは玄関からやってくる
アレルギーの原因となるハウスダスト
ハウスダストはくしゃみや鼻水、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギーを引き起こす原因になります。
ハウスダストとは家の中に溜まるホコリや塵のことで、この中には土、砂、衣服などの繊維くず、髪の毛、ペットの毛、花粉、カビ、ダニ、細菌などが含まれています。
そしてハウスダストは家の中で発生するものと、屋外から持ち込まれるものの2つに分けられます。
前者はカーペットやソファ、衣類などからでる繊維くず、そして人からでる髪の毛やフケ、あかなどです。後者は窓から風に乗って室内に侵入する花粉や、帰宅時に靴底についている土や砂などです。
また帰宅時の衣服にダニがついていることだってあります。このようにハウスダストは数えきれないほどの種類と数(量)があり「どこから、どのようにして発生(侵入)し、どれくらいの量があるのか?」については、はっきりとはわかりません。
そこで今回「どこから、どのように、どれくらい」の謎を探るべく、数ある侵入場所のひとつ「玄関」に注目し、靴底からどれくらいの汚れが家の中に持ち込まれているのか調査してみました。
靴床の汚れからハウスダストになる量を調査
今回はAさんとBさん2件のご家庭にご協力いただき、4ヶ月間玄関の床(室内側の靴を脱ぎ・履きするたたき部分)にすき間なく白いマットを敷き、靴底の汚れをマットに溜めこみました。
「もしマットで汚れを溜めておかなかったら、風や換気などで、さらに部屋の奥まで侵入してハウスダストになっていたかもしれない」
という仮説のもと、敷く前のマットの重さと4カ月後の汚れたマットの重さを比較し靴床の汚れがハウスダスト化する量を調べました。
Aさん宅の場合(一戸建)
Aさん宅は木造一戸建ての築20年。ご夫婦、中学3年生、小学3年生、幼稚園児の5人家族です。それでは、Aさん宅に敷いたマットを見てみましょう。

新品の状態(ビフォー)

4カ月後(アフター)
アップにしてみるとさらに汚れが分かります。

汚れたマットのアップ(アフター)
見た目にも汚れが溜まっていることが分かりますが、計ってみると新品時とくらべて4カ月後には約80グラム重くなっていることがわかりました。
Bさん宅の場合
Bさんは、築9年のマンションの11階に住んでいます。家族構成は、ご夫婦と小学1年生、幼稚園児の4人。それでは、Bさん宅に敷いたマットを見てみましょう。

新品の状態(ビフォー)

4カ月後(アフター)
Bさん宅もアップにしてみました。

汚れたマットのアップ(アフター)
見た目には先ほどのAさん宅よりも汚れているように見えますが、新品時とくらべた4カ月後の重さは約30グラムとAさん宅の半分以下の重さであることがわかりました。
住んでいる環境で異なるマットの汚れ(ゴミ)の種類
Aさん宅のマットを顕微鏡で20倍に拡大してみました。狭い範囲に土砂や石、植物の種のようなものがあるのが分かります。

Aさん宅のマットの拡大写真
一方Bさん宅のマットを見てみるとAさん宅よりもゴミ少ないことが分かります。

Bさん宅のマットの拡大写真
Bさん宅よりもご家族が多いということもあると思いますが、Aさん宅はアスファルトの道路に面していて、道路から玄関にたどり着くまでにさらにコンクリートの敷地を4、5歩通っていきます。
また、敷地内には植物を育てるプランターがいくつかあります。このようなことが原因で土砂や石などの汚れが目立っているのだと考えられます。
一方、Bさん宅はマンションの11階ということもあって、結構長い距離の「マンション廊下(薄いゴムが敷かれている廊下)」を通って家の中に入っています。
恐らく、玄関に入る前には靴底に着いた相当量のゴミは外廊下で落とされていると考えられます。
80グラムのハウスダストを視覚化すると…

80グラムの乾燥した麦茶の葉
今回、Aさん宅でとれた80グラムという汚れを使い終わって乾燥させた麦茶の葉で視覚化してみました。
これらが靴底から部屋に入り込み、ハウスダストとして鼻や口から吸いこまれているとしたら、ちょっとゾッとしますね。

さらにいうと、このインスタントコーヒーの中身(40杯分)と同じ