一問一答

O157は何から感染しますか?

O157は何から感染しますか?

菌に汚染された飲食物や、感染した人の“便に含まれる菌”が口に入ることで感染します

「O157(腸管出血性大腸菌)」は夏場の食中毒の原因としてよく知られていますが、感染源が特定されにくいのが特徴です。

その理由として、潜伏期間(4~9日間)が長いため、(1)汚染された食品が流通してしまうこと、(2)食事の献立、食材について関係者の記憶が薄れていること、(3)すでに料理や食材が保存されていない場合が多く、原因施設に菌が存在しない場合が多いことなどがあげられます。

また、一般の食中毒の発症菌量が10万~100万個であるのに対して、O157は100個程度で発症するため、菌の検出が技術的に難しいことも特定を難しくしているようです。

しかし、このような中でも厚生労働省では、以下の食品を感染原因と“特定”または“認定”しています。このように見ると実に多くの食品から感染していることが分かります。

<国内>
牛肉、牛レバー刺し、ハンバーグ、牛角切りステーキ、牛タタキ、ローストビーフ、シカ肉、サラダ、貝割れ大根、キャベツ、メロン、白菜漬け、日本そば、シーフードソース、ユッケ、冷やしきゅうり、きゅうりの和えもの、井戸水など。

 

<海外>
ハンバーガー、ローストビーフ、ミートパイ、レタス、ホウレンソウ、アップルジュースなど。

また、排便のあとにトイレのフタを閉めないで水を流すと、菌が含まれた便や水が便器の外に飛び散り、これが乾いて空気中に舞って口から吸込むことで感染する場合があります。

同じように、排便後に便がついた手で他の場所やモノに触ることで感染が広がることもあります。

便を流すときはフタをし、トレイの後にはしっかり手洗いをしましょう。

インフォメーションプラス

成型肉が感染源になることも

サイコロステーキ

スーパーではよく成型肉でつくられたサイコロステーキを見かけます。成型肉とは、くず肉や内臓肉に肉を軟らかくする軟化剤を加え、結着剤で食材同士をつなぎあわせたお肉のことです。

最近の成型肉は、本物のお肉と見極めるのが難しいくらいクオリティが高く、家庭やレストランでもよく口にするようになりました。

しかし成型肉はお肉の繊維を切断したり、先ほど紹介した軟化剤などの添加物を加えて形を整えるので、その過程でお肉の表面に付着していた病原性の細菌が内部に拡大する恐れがあります。

特に、その細菌がO157であった場合、重症化することが報告されています。

そこで、成型肉を食べる場合、厚生労働省では以下のような対策を推奨しています。

 

  1. 飲食店ではお肉が加工処理されているものか、表示や従業員からの説明により事前に確認すること
  2. お肉を購入する際には、包装容器の表示を見て、加工処理されたものかを事前に確認すること
  3. 加工処理されたお肉を食べるときは、中心部まで十分に加熱して食べること

 

「2」については、以下のように成型肉の場合にはパッケージに「成型肉」と必ず表示されているので確認は簡単です。

 

成型肉表示パック

必ず表示を確認しましょう

また「3」の加熱については、お肉の中心部の温度を75℃で1分間以上加熱することでO157などの食中毒菌は殺菌されます。

ただ「1」の場合は「成型肉だから食べない」なんていう選択は難しいので、中心部まで良く焼いてもらうようなオーダーをしましょう。

 動物が感染源になることも

ウサギ

動物とのふれあいイベントやさく乳体験などが原因で感染する事例も報告されています。

牛などの“反すう”動物の糞便に汚染されたウサギなどの小動物の体表から二次的に人に感染した事例などがあります。

特に小さな子どもは好奇心が強いので、大人がしっかりケアをする必要があります。そこで動物とふれあう際には以下のことに注意しましょう。

 

  1. 動物とふれあった後には、必ず、石けんを使用して十分に手洗いをしましょう。
  2. 動物の糞便には触れないようにしましょう。
  3. 動物とは、キスなどの過剰なふれあいをしないようにしましょう。
  4. 動物とふれあう場所では、飲食や喫煙などをしないようにしましょう。

<厚生労働省HPより抜粋>

 手洗いは十分に

手洗い

人からの感染を予防する基本は手洗いです。

排便後や食事の前、調理の前にはせっけんで手指を洗って流水できれいに流し落としましょう。

衛生関連企業のサラヤのホームページでは、大腸菌を手指に塗布し「洗って」「ふいて」「消毒」の各工程での菌の減り具合を調べた結果が以下のように紹介されています。

 

  1. 石けんで手を洗うだけで菌数が1/100程度に減少。
  2. さらに、ペーパータオルで水分や汚れをふき取るようにすると1/10程度に減少。
  3. さらに、アルコールで手指消毒をするとほぼ“検出限界以下”に。

 

すごい結果ですね!

このような、「洗う」「ふく」「消毒」のプロセスは、O157対策でもかなり有効的であることがわかります。

日頃から手洗いの習慣を欠かさないようにしましょう。

 

<参考文献>
消費者庁
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/140124kouhyou_3.pdf

厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177609.html

厚生労働省「我が国おける食中毒の発生状況と課題」
http://www.anan-zaidan.or.jp/pages/110620-1.pdf

上尾市医師会「病原性大腸菌O157を予防するために」
http://www.ageomed.com/index.php?action=o157:index

SARAYA
http://pro.saraya.com/pro-tearai/science/index.html

 

※2018年9月29日文書改訂

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O157は何から感染しますか?

この記事の監修者

しょうこ

しょうこ

1児のママ。掃除が大好きで汚れているとどうしてもいまキレイにしたくなってしまう性格。自己流お掃除もたくさん試すアクティブ派!

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