金属用研磨剤「ピカール」の使い方、みがけるものや落とせる汚れなど
ピカールは、研磨剤の力で汚れを落とす「金属みがき剤」です。シンクやゴルフクラブ、金属製の食器や仏具など、くすみが気になる金属製品に付けてこするだけで、美しい光沢を取り戻すことができます。一家に一つは置いておきたいお掃除アイテムですが、正しい使い方を知っていないと後悔することになってしまうかもしれません。今回は、ピカールの正しい使い方や、ピカールでみがけるものなどについて解説していきたいと思います。
ピカールとは?

ピカールの写真
ピカールの使い方の前に、商品の概要を見ておきましょう。
ピカールは、日本磨料工業(にほんまりょうこうぎょう)株式会社が製造・販売する「金属みがき剤」です。1949年に発売されてから、家庭だけでなく工場などプロの現場でも愛用されている同社のロングセラー商品です。
ピカールが金属を美しく輝かせるポイントは、「研磨剤」にあります。ピカールに含まれている研磨剤は、非常に微細な粒子でできており、ピカールで金属をこすることで汚れや酸化物を削り取り、表面に付いた細かいキズを平滑にすることができます。その結果、金属本来の美しい光沢がよみがえります。

金属製の鍋の写真
ピカールの用途、みがけるもの・みがけないもの
ピカールは、独自の研磨剤の力で金属表面の汚れを落とし、細かいキズを目立たなくします。曇ったり、くすんだりしている金属をピカールでみがけば、美しい輝きを取り戻すことができます。
対応素材
アルミ、ステンレス、真ちゅう、銅、スズ、鉄など
ピカールでみがけるもの
ステンレスガステーブル、ステンレスシンク、車・バイク・自転車のホイールなど金属部分、換気扇、ゴルフクラブ、管楽器、金属仏具、金属食器、金型、ドアノブ、家庭用金物 など

タイヤのホイールの写真
ピカールでみがけないもの
ピカールには研磨材が配合されているため、塗装、コーティング、金銀メッキ、特殊な表面加工・表面処理が施された金属に使うことはできません。
ピカールの種類

ピカール製品の写真
ピカールには様々な商品ラインナップがありますが、タイプで分けると、液状の「ピカール液」、クリーム状の「ピカールケアー」、練り状の「ピカールネリ」の3つに分類することができます。
ピカール液(液状)
液状の金属みがき剤で、ピカールの元祖と言える商品です。液状なので汎用性が高く、広い範囲を研磨したいときなどに向いています。
・アルミナ系、研磨材含有、乳化性液状タイプの金属みがき剤。
・金属部分の表面汚れ除去、キズ取りからツヤ出しまで多用途に活躍。

金属製の蛇口の写真
ピカールケアー(クリーム状)

ピカールケアの写真
クリーム状の金属みがき剤です。成分は「ピカール液」と同じですが、クリーム状なので液だれしにくく、使い勝手が良いのが特徴です。金属に塗り、こすってピカピカにするだけでなく、ピンポイントのサビを落としたいときにも有効です。
・アルミナ系、研磨材含有、チューブ入り(クリーム状)の金属みがき剤。
・金属部分の表面汚れ除去、キズ取りからツヤ出しまで多用途に活躍。
ピカールネリ(練り状)

ピカールネリの写真
研磨剤の粒度が粗く、頑固な汚れを落とすのに向いている練り状の金属みがき剤です。ピカール液やピカールケアーでは落ちなかった頑固な汚れ落としに最適です。ピカールネリで汚れやサビを落としたうえで、ピカール液やピカールケアーでみがき上げることで、より美しい仕上がりが期待できます。
・油性ネリ状タイプの金属みがき剤。
・金属製品の研磨、キズ取り、精密機械・バルブなどの摺り合わせに最適。
ピカールの正しい使い方・手順
ピカールの使い方はとても簡単。基本的には、ピカピカにしたい金属に付けてこするだけです。用意するものはピカールと古布、ビニール手袋(またはゴム手袋)です。古布は「ピカールを付けてみがく用」と「仕上げの拭き取り用」の2枚用意しましょう。
今回はゴルフクラブを実際にみがいてみました。
①やわらかい古布に適量のピカールを付け、汚れが取れるまでみがく。

ピカールでゴルフクラブをみがいている写真
②十分にみがけたら、乾いた古布でよく拭き取る。

ゴルフクラブを乾拭きしている写真

ピカールでみがいた前後の比較写真
ピカールのNGな使い方と注意点
ピカールを正しく使うため、以下の3点は必ず守りましょう。
みがく素材を確認する
ピカールには研磨剤が入っているため、みがくことで対象物が摩耗します。そのため、事前にみがくものの「素材」をよく確認しておきましょう。
上述した「ピカールでみがけるもの」であれば問題はありませんが、貴金属やアクセサリー類、表面に塗装・コーティングがしてあるものに使うのはおすすめできません。キズが付いてしまったり、塗装やコーティングが落ちてしまったりするおそれがあります。素材が分からないものをみがきたいときは、必ず目立たない場所で試してから使うようにしましょう。

宝飾品の写真
強くみがきすぎない
金属をみがいて、研磨剤の力で汚れを落とすのがピカールのメカニズムです。汚れがひどい場合などは、どうしてもゴシゴシとみがきたくなるものですが、力の入れすぎはNGです。力を入れすぎると、逆にキズが付いたり、みがきムラができたりする原因になります。頑固な汚れがある場合は、強い力でゴシゴシとこするのではなく、適度な力で何回もこすることを意識しましょう。
換気&手袋をしながら使う
ピカールには灯油が含まれているため、使用中に独特のニオイがします。屋外で使用する場合は問題ありませんが、屋内で使用するときは、換気扇を回したり、窓を開けたりしてニオイが充満しないようにしましょう。また、ピカールを使用するときはビニール手袋(またはゴム手袋)を着用してください。

窓を開ける女性の写真
なお、ピカールの研磨力をキープしながら、ニオイを大幅に軽減した「ピカールネオ」という商品もあります。ピカールネオであれば、リビングやキッチンでも安心して使うことができます。
ピカールQ&A
Q:ピカール液で鉄のサビ落としはできる?
深く侵蝕したサビを落とすことはできませんが、ごく軽いサビであれば落とすことができます。なお、真ちゅう・銅製品専用のサビ落とし剤として、「サビキレー」という商品もあります。
Q:ステンレス食器や銀食器はピカール液でみがける?
ピカール液でもみがくことはできますが、姉妹品の「グラスターポリッシュ」の使用をおすすめします。グラスターポリッシュは、ガラスに付いた頑固な汚れや銀製品などの汚れ落としのために開発された、研磨剤入りの「ガラス&銀器クリーナー」です。なお、食器にピカールやグラスターポリッシュを使用したら、後処理として、食器洗剤でよく洗ってください。
Q:ピカール液でステンレスをみがくときの注意点は?
鏡面ステンレス(表面を鏡のように平滑に仕上げたステンレス)は非常にデリケートで、使用方法によっては研磨キズが目立ってしまうことがあるため注意が必要です。また、ヘアーラインステンレス(同一方向に細かい筋目を入れてツヤを消したステンレス)は、均一にみがけず、仕上がりにムラができやすいため、ピカール液はあまり適しません。さらには、表面に塗装や特殊な処理が施されたステンレスは、色落ちしたりムラが出たりする可能性があるため、ピカール液の使用はお控えください。
まとめ
金属のくすみや汚れ、サビなどを落としてピカピカにできるピカールは、一家に一つ、置いておきたいアイテムです。キッチンのシンクも、洗面台の蛇口も、子どもの自転車も、ピカールでみがけば新品のような輝きがよみがえります。ぜひ、お掃除にピカールを取り入れてみませんか。
※ご使用の際は必ず、商品に記載の注意事項をよく読んでからお使いください。
※参考:金属みがきの「ピカール」でおなじみ、日本磨料工業株式会社
※参考:ピカール公式ONLINE SHOP