ボールペンの染み抜き・洗濯の方法をインクの種類別に解説!
衣類に付いたボールペンの染みは、洗濯機で洗ってもなかなか落ちません。ですが、あきらめる前に本記事でご紹介する染み抜きの方法をお試しください。ポイントは、ボールペンのインクの種類によって染み抜きの方法が違うことです。インクの種類に合った方法で、ぜひボールペンの染み抜きにトライしてみましょう。
ボールペンの染み抜きをする前にインクの種類をチェック
ボールペンの染み抜きの方法は、「油性」「水性」など、インクの種類によって変わってきます。インクの種類に合った適切な方法で染み抜きをすることで、頑固な染みを落とせる可能性があります。
ワイシャツやブラウスにボールペンの染みが付いてしまったら、まず洗濯をする前にインクの種類を確認しましょう。インクの種類は、プラスチックに書いたとき、指でこすっても落ちなければ「油性」、指でこすったときに落ちたりにじんだりしたら「水性」というのが一つの判断基準になります。ただし、最近は「ゲル(ジェル)」「エマルジョン」などのインクも一般的になっており、油性か水性かを判別するのが難しくなっています。
インクの種類を知るためには、ボールペンの製品名で検索して、メーカーのWebサイトを見るのが確実です。少々手間に感じるかもしれませんが、インクの種類を特定することが、効果的な染み抜きの第一歩になります。
インク別~ボールペンの染み抜き・洗濯の方法
ボールペンのインクの種類として一般的なのが、「油性」「水性」「ゲル(ジェル)」「エマルジョン」の4つです。それぞれ染み抜きの方法を見ていきましょう。
ボールペンの染み抜き方法【油性インクの場合】
油性のボールペンは乾きが早く、耐水性に優れており、水に濡れてもにじみにくいのが特徴です。染み抜きの方法は以下のとおりです。
用意するもの
・溶剤(無水エタノール、あるいはプロピレングリコール類含有の除光液)
・汚れてもいい布きれ数枚
手順
① 布きれの上にインク染みのある部分を下にして衣類を置きます。インク染みの裏側から少しずつ溶剤を垂らし、別の布きれで染みの部分を叩くようにしてインクを溶かし出します。
② 布きれにインクが溶け出さなくなるまで、「①」の作業を繰り返します。
③ インクが溶け出さなくなったら、洗濯機で通常の洗濯をします。
注意点
あらかじめ目立たない場所に溶剤を少し付け、色落ちがないか確認してから染み抜きをしてください。色落ちがある場合、染み抜きはお控えください。
ボールペンの染み抜き方法【水性インクの場合】
水性のボールペンはサラサラとした軽い書き味で、カラーバリエーションが豊富なのが特徴です。水分によってにじみやすいのがデメリットですが、油性のボールペンに比べるとインク染みは落ちやすいです。染み抜きの方法は以下のとおりです。
用意するもの
・水、あるいはぬるま湯
・石けん(手洗い用の石けん、あるいは洗濯石けん)
手順
① 水(ぬるま湯)と石けんを使って、インク染みができた部分を揉み洗いします。
② 流水ですすぎます。
③ インク染みがなくなるまで「①」「②」の作業を繰り返します。
④ 最後によくすすぎます(洗濯機で通常の洗濯をしてもOKです)。
ボールペンの染み抜き方法【ゲルインク(ジェルインク)の場合】
ゲルインク(ジェルインク)は、油性インクと水性インクのメリットを兼ね備えたインクで、軽くなめらかな書き心地が特徴です。染み抜きの方法は、水性インクの場合と同様です。
ボールペンの染み抜き方法【エマルジョンインクの場合】
エマルジョンインクはゼブラ社が開発した独自のインクで、水性インクと油性インクを「3:7」の割合で混ぜ合わせてつくられています。染み抜きの方法は以下のとおりです。
用意するもの
・溶剤(無水エタノール、あるいはプロピレングリコール類含有の除光液)
・水、あるいはぬるま湯
・石けん(手洗い用の石けん、あるいは洗濯石けん)
・汚れてもいい布きれ数枚
手順
エマルジョンインクは水性と油性の混合インクなので、染み抜きをする際も、水性と油性の両方の方法でおこなう必要があります。
① 水性のインクを落とすため、石けんと水(ぬるま湯)でつまみ洗いをします。インクが付着した範囲を広げないよう、インク染みができた部分をつまみながら洗うのがポイントです。
② 流水ですすぎ、一度衣類を乾かします。
③ 次に油性のインクを落とします。インク染みができた部分に少しずつ溶剤を垂らし、あて布をして裏から叩くようにしてインクをあて布に溶かし出します。
④ インクが溶け出さなくなったら、洗濯機で通常の洗濯をします。
白いシャツにボールペンの染みが!出先での応急処置方法
職場など、自宅以外の場所で衣類にボールペンの染みが付いてしまうことがあるでしょう。このような場合、「応急処置」をしておくことで、後の染み抜きで汚れが落ちやすくなります。
油性インクの場合
インク染みができた部分にアルコール消毒液を数滴垂らし、ティッシュで叩きます。油性インクに水を使うのはNGです。水を使うとインクが衣類に染み込んでしまい、かえって落ちにくくなってしまいます。
水性インク・ゲルインク(ジェルインク)の場合
濡らしたティッシュでインク染みができた部分を叩きます。
ボールペンの染み抜きQ&A
Q:染み抜きができない衣類はある?
自宅で染み抜きができるのは、水洗いができる衣類のみです。洗濯表示に「水洗い不可マーク(桶に×印が付いたマーク)」がある衣類は、自宅での染み抜きは控えましょう。アルコールや漂白剤などを使って無理に染み抜きをすると、生地を傷めてしまうおそれがあります。水洗い不可の衣類にボールペンのインク染みが付いてしまった場合は、クリーニングに出すのが良いでしょう。

<イラスト>水洗い禁止マーク
Q:染み抜きをしても完全に汚れが落ちない場合はどうすればいい?
多くの文房具メーカーはインクを開発する際、定着性(=落ちにくさ)を重視しています。そのため、衣類に付いたインク染みを完全に落とせないケースも少なくありません。
ご自宅での染み抜きで汚れが完全に落ちない場合は、クリーニング店の「染み抜きサービス」を検討してみましょう。染み抜きサービスを利用する際は、ボールペンの汚れであることに加え、ボールペンの製品名やインクの種類を伝えるようにしましょう。ただし、クリーニング店の染み抜きサービスでも完全に汚れが落ちる保証はありません。特に、時間が経ってしまったボールペンのインク染みを落とすのは難しいものです。
まとめ
白いワイシャツやブラウスにボールペンのインク染みが付いてしまうと、非常に目立ちます。そのため、慌てて水を付けてこすってしまう方もいるでしょう。ですが、インクの種類によっては逆に汚れが染み込んだり広がったりして、落ちにくくなってしまうことがあります。処置をする前に、インクの種類を特定することが先決です。そのうえで、インクの種類に合った方法で染み抜きをしてください。
※参考:インクの落とし方はありますか?|ゼブラ株式会社
https://www.zebra.co.jp/contact/faq/QA03/
※参考:インクを落としたい(ボールペン)|よくあるご質問|三菱鉛筆株式会社
https://www.mpuni.co.jp/customer/ans_13.html