家事のネタ帳

【簡単解説】革靴の傷(キズ)、へこみ、ひび割れを治す方法

【簡単解説】革靴の傷(キズ)、へこみ、ひび割れを治す方法

革靴やブーツには浅い擦り傷や深い削れ、へこみなどのキズがつきやすいです。浅い擦り傷は「靴クリーム」を塗り、布で磨くことで目立たなくなります。深い削れは、「補修剤」や「補色剤」を使い、紙やすりで滑らかに整えた後、乾燥させて仕上げます。へこみは内側から形を整え、クリームで補修します。コバのキズもクリームを塗り、ブラシで整えると美しく補修することができます。

革靴や革ブーツの傷(キズ)の基礎知識

傷が付いている革靴の写真

傷が付いている革靴の写真

ここでは、革靴や革ブーツにつきやすい傷(キズ)の種類とその対策について、基本的な知識を紹介します。まず、革靴にできる代表的なキズを理解し、それぞれのキズに応じた適切な補修方法を知ることが大切です。​

革靴につきやすい傷(キズ)の種類

革靴にできるキズにはいくつかの種類があります。

それぞれのキズは、発生する原因や対処が異なるため、適切な補修方法を知ることが大切です。

 

<その.1 擦り傷(浅いキズ)>

いつの間にか表面が擦れて浅いキズがつくことがあります。浅い擦りキズは比較的簡単に修復できるため、色付きの「靴クリーム」で目立たなくすることができます。

<その.2 削れ・えぐれ(深いキズ)>

物に強く当たる、鋭利なものに引っかかるといった理由で、革が削れたりえぐれたりすることがあります。削れやえぐれは擦り傷とは違い「深いキズ」であるため、専用の「補修剤」を使って修復します。​

 

<その.3 へこみ>

メーカーにより靴先の芯が柔らかいものがあります。そのような場合、靴の先がへこんでしまうことがあります。

 

<その.4 コバのキズ>

コバの写真

靴底のエッジ部分のことを「コバ」といいます。この部分のキズが目立つと靴が古くみえてしまいます。色付きの「靴クリーム」と「ブラシ」で補修します。

革靴の傷(キズ)補修の基本ステップ

革靴にできたキズを補修するための基本的な流れを紹介します。

キズの種類によって必要な道具や補修方法は異なります。正しい道具と手順により、自宅でもキズを直して革靴を美しく保つことができます。

擦り傷(浅いキズ)の補修方法

浅い擦りキズは比較的簡単に補修できます。

まず、革靴の表面をブラシや布で磨いて汚れを落とします。その後、靴クリーム(靴墨)を傷に塗り、ブラシや布で均一に伸ばします。この手順で、浅い擦りキズは目立たなくなります。

 

<準備するもの>

・靴クリーム(100円ショップで買ったもの)

・布

 

<手順>

靴クリームを手に持つ写真

靴クリームは、100円ショップのものを使っています

靴クリームを靴に塗る写真

靴クリームを布で取り、靴を磨いていきます

削れ・えぐれ(深いキズ)の補修方法

削れやえぐれなどの深いキズは、浅いキズよりも補修を終えるまでに時間がかかります。

まず、浅いキズのときと同様、革靴の表面をブラシや布で磨いて汚れを落とします。その後、やや粗目の紙やすり(200番台)でキズを削り、できるだけ滑らかにします。滑らかにした後は、補修剤の「パテ」でキズを埋め、しっかり感想させます。パテが乾いたら、きめの細かい紙やすり(400番台)でパテを削り表面を滑らかにしていきます。

最後に、パテを塗った部分に「補色剤(黒い革靴なら黒色)」を塗り、ブラシや布でなじませます。

 

ここでは、株式会社コロンブスの革靴補修剤「アドベース」と補色剤「アドカラー」を使用した補修方法を紹介します。私も愛用しており、その使いやすさと仕上がりにとても満足しています。

以下に、アドベースを活用した補修手順を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

<準備するもの>

・アドベース(キズを埋めるパテ)

・アドカラー(パテに色を塗る補色剤)

・マスキングテープ

・へら

・紙やすり(240番)

・紙やすり(400番)

・マスキングテープ

・ドライヤー

・紙皿

・ふで

 

<手順.1 キズを埋める>

作業工程もそれほど複雑ではなく、キズが徐々に埋まっていく様子を見ると楽しささえ感じます。

コバにマスキングテープをする写真

キズがついたり汚れたりしないように「コバ」にマスキングテープをします

紙やすりでキズをならす写真

粗めの紙やすり(240番)で、できるだけキズとの段差をなくします

アドベースを塗る写真とアドベース

へらにアドベースを取りキズにたっぷり塗ります

綿棒で余分なアドベースを拭き取る写真

綿棒で余分に塗ったアドベースを拭き取ります

ドライヤー※1で乾かす写真

ドライヤーで「半乾燥状態※2」まで乾かします

(※1)室温で乾かす場合は2~3時間

(※1)熱風を当てると革が傷むので、「COOL」や「LOW」設定で行う

(※2)半乾燥の目安は指に付かない程度

革靴のアドベースを布で水拭きする写真

布を湿らせて余分なアドベースを拭き取っていきます

ドライヤー※3で革靴を乾かす写真

ドライヤーで完全に乾かします

(※3)室温で乾かす場合は一晩

(※3)熱風を当てると革が傷むので、「COOL」や「LOW」設定で行う

やすりを靴にかけている写真

最後に、きめの細かい紙やすり(400番)で平らにしていきます※4

(※4)力を入れるとアドベースがとれることがあるので、紙やすりは優しくかける

 

<手順.2 色を塗る>

絵の具を塗るように補修を進めることで、革が美しい姿を取り戻していく様子が楽しめます。初めての方でも安心して取り組めます。

紙皿に黒い補色剤を出している写真

紙皿に補色剤を出します(今回は黒を使います)

筆で補色剤を塗っている写真

少量の水で補色剤を伸ばし傷に塗っていきます※1

(※1)キズ以外の場所も広めに塗っていく

ドライヤー※2で乾かす写真

ドライヤーで「半乾燥状態※3」まで乾かします

(※2)室温で乾かす場合は2~3時間

(※3)熱風を当てると革が傷むので、「COOL」や「LOW」設定で行う

最後に、靴クリームを布で取り、靴を磨いていきます。

※アドベース、アドカラーの使用方法について詳しくはメーカーのホームページをご覧ください。

へこみの補修方法

靴に手をいれてへこみを直す写真

靴先の芯が柔らかいと、靴がへこんでしまう場合があります。そのような場合は、靴の中に手を入れて、内側からへこみを戻すようにしましょう。

へこみを直した後は、靴クリームを塗りへこんだ部分が目立たないように調整します。

コバのキズ補修方法

靴底のエッジ部分のことを「コバ」といいます。コバのキズを目立たないようにすれば、靴全体が引き締まって見えるようになります。

 

<準備するもの>

・靴クリーム(黒色)

・ブラシ

・布

 

<手順>

コバを布で拭く写真

まずは、コバの汚れを布で拭き取ります

コバに靴クリームを塗る写真

コバ全体に靴クリームを塗ります

コバをブラシでこすっている写真

靴クリームを塗り、ブラシや布で塗りこんでいきます

革靴や革ブーツの補修を行う際の注意点

革靴の補修は、靴の状態を改善するために非常に有効ですが、適切な方法で行わないと逆に革を傷めてしまう可能性があります。ここでは、補修を行う際に注意すべきポイントについて詳しく説明します。

紙やすりをかける際の注意点

紙やすりでキズをならす写真

革靴の補修では、紙やすりを使う場合があります。削りすぎると、革自体を深く削ってしまい、かえってキズが広がってしまう場合があります。

特に、深いキズの補修では、キズをなくそうと削りすぎてしまい、革の質感が損なわれることがあります。自分で紙やすりをかける場合は、この点に十分注意しましょう。

補修剤・補色剤の注意点

補修剤は、キズを埋めて滑らかに仕上げるために非常に効果的です。しかし、塗った後の後処理を怠ると、不自然な盛り上がりが残ることがあります。また、革靴の色によっては、複数の補色剤をまぜてオリジナルで色をつくることがあります。この点は、特に慎重に行いたい作業です。

失敗時の注意点

補修作業がうまくいかず、キズが完全に消えなかったり、不自然な仕上がりになった場合でも、あきらめる必要はありません。紙やすりをかけ直したり、補修剤を再度塗り込むことで改善できます。しかし、この時点で理想的な仕上がりに近づけるためには、プロに依頼した方が賢明といえます。

補修後とメンテナンス

革靴の補修が終了した後のメンテナンスも重要です。適切な手入れを行うことで、補修後の靴をより長く美しい状態に保つことができます。ここでは、日常的なメンテナンスについて紹介します。

靴クリームを塗る

補修が終わった後は、靴クリームを使って全体を仕上げます。

靴クリームは、革に栄養を与えるだけでなく、色ムラを整え、光沢を出す役割も果たします。適量のクリームを布やブラシに取り、全体に薄く均一に塗り広げ磨き上げていきます。

ワックスを塗る

ワックスは、革靴に鏡面のような光沢を与えます。特に、フォーマルなシーンでは、靴をピカピカに見せることが重要です。ワックスを少量ずつ靴のつま先部分などに塗り込み、布で磨いていきます。

ワックス仕上げは、見た目を美しくするだけでなく、擦り傷の予防効果も期待できます。

靴メンテナンスのコツ

補修が完了した革靴は、定期的なメンテナンスを行うことで、長持ちさせることができます。まず、日常的にホコリや汚れをブラシで取り除くことが重要です。

また、定期的に靴クリームを塗って栄養を補給し、乾燥やひび割れを防ぐようにしましょう。さらに、雨の日などで靴が濡れた場合は、しっかりと乾かし、必要であれば再度クリームを使ってメンテナンスを行います。これらのケアを続けることで、革靴の美しさを長期間維持することができます。

革靴のキズ補修に役立つサービス

靴にブラシをかけている写真

革靴のキズ補修を自分で行う方法は数多くありますが、プロに依頼することで、より確実に美しい仕上がりを得ることができます。

特に、深いキズや修復が難しいケースでは、プロの手に任せることを検討すると良いでしょう。ここでは、プロに補修を依頼するメリットやコストについて説明します。

プロに依頼するメリットとコスト

プロに革靴のキズ補修を依頼する最大のメリットは、専門的な技術と知識を活かして、素人では難しい仕上がりを実現できる点です。

プロは、キズの種類や革の状態に合わせた適切な道具や技術を活かし、革の質感や色合いを元に戻すだけでなく、場合によってはさらに美しく仕上げることが可能です。

例えば、細かな擦り傷や深いえぐれ傷も、プロの技術によってほとんど目立たなくすることができます​。

また、プロに依頼することで、靴全体のクリーニングや補修を一度に行えるため、時間の節約にもなります。料金には差はありますが、このようなサービスでは、通常3,000円〜5,000円程度となるようです。

革靴を長持ちさせる工夫

靴のヒモを結ぶ男性の写真

下駄箱の清掃や整頓を行うなどは、革靴を長持ちさせるために非常に効果的です。そこで、下駄箱の管理方法をはじめとした、革靴をキレイに保つポイントを紹介します。

下駄箱の定期的な清掃でホコリや湿気を防ぐ

下駄箱内は湿気がこもりやすく、ホコリや汚れがたまりやすい場所です。

下駄箱を定期的に掃除し、特にホコリが溜まる部分は拭き掃除をしましょう。ホコリが革靴の表面に付着すると、余計なメンテンナスの手間がかかってしまいます。

また、除湿剤を下駄箱に置き湿気対策に備えましょう。湿気は革靴の革を傷め、カビや劣化の原因となるため、通気性の良い状態を保つことが重要です。

通気性を確保する工夫

下駄箱内の通気性を良くするために、靴を並べる際に少し間隔を開けたり、扉を定期的に開放して空気を入れ替えるなど、湿気がこもりにくいようにしましょう。

また、革靴を長期間保管する場合は、通気性の良い布カバーや不織布の袋を使用することで、革の呼吸を妨げずによい状態で保管することができます。

シューキーパーの使用

シューキーパーの写真

100円ショップで購入できます

下駄箱内で靴が長時間置かれる場合、シューキーパーを使用することで靴の形を整え、シワが深くなるのを防ぐことができます。

特に、革靴は履いた後、湿気を吸収して変形しやすいため、シューキーパーを入れることで、湿気を飛ばしながら形を維持できます。

革靴のひび割れ(プロへ依頼しよう)

ひび割れた革靴の写真

キズとは違いますが、革靴やブーツのひび割れも気になるところです。

ひび割れの原因は、乾燥や過度な使用、メンテナンス不足などが考えられます。ひび割れが軽度であれば、靴クリームなどを使った自宅でのケアも可能ですが、ひび割れはプロに依頼することをお勧めします。

大切な革靴を長く愛用するためにも、プロの力を借りることを検討しましょう。

まとめ

革靴のキズ補修は、靴を美しく保つために欠かせないメンテナンスです。

今回は、コラムを通じて、基本的な知識と具体的な補修方法を紹介しました。どんなキズでも自分で対応できることを知ることで、自信を持って革靴をケアする第一歩を踏み出せると思います。

特に、浅い擦りキズは簡単な道具を使って短時間で修復でき、深いキズやへこみも、正しい道具と手順を使えば自宅で補修が可能です。また、補修後のメンテナンスを怠らずに続けることで、靴の寿命が大幅に延び、いつでも清潔感のある履き心地を維持できます。

但し、大きなキズや自信のない補修作業の場合は、プロに依頼しましょう。専門店では、確実な技術でキズを修復し、靴全体のメンテナンスも行ってくれるため、手間を省きながら高品質な仕上がりが期待できます。

革靴のキズ補修に挑戦することで、日常の中での「自分の足元を大切にする」という意識が高まり、靴をより長く愛用できるようになります。正しい補修とケアを続けて、いつでも自信を持って革靴を履きこなしましょう!

Q&A(革靴の修復について)

Q.革靴にできた擦り傷はどうすれば簡単に直せますか?
A.まず、革靴の表面の汚れをブラシで落とし、次に革クリームをキズに塗り広げます。布やブラシを使ってクリームを均一に伸ばし、最後に余分なクリームを拭き取ることで、擦りキズは目立たなくなります。

Q.深い傷がついた場合、どうやって補修すればいいですか?
A.深い擦り傷の場合、まずクリーナーで汚れを落とし、補修材を使って傷を埋めます。乾燥させた後、補色剤で色を塗っていきます。

Q.削れやえぐれのあるキズはどのように補修すればいいですか?
A.削れやえぐれはも、補修剤や補色剤を使って補修します。キズに補修剤を塗り込み、乾燥させてから軽くやすりをかけます。最後に色補色剤で色を塗っていきます。

Q.キズを削りすぎるリスクはありますか?
A.サンドペーパーややすりでキズを削る際、削りすぎると革を痛めてしまい、修復が難しくなる可能性があります。特に深いキズでは、少しずつ削ることが重要です。

Q.革靴のコバのキズはどう補修すればいいですか?
A.コバも革クリームを塗り、ブラシで整えると美しく補修することができます。コバの汚れを布で拭き取り、靴クリームを塗った後、ブラシや布で塗りこんでいきます。

Q.革靴のへこみはどうやって直しますか?
A.靴の中に手を入れ、内側からへこみを戻すようにします。へこみを直した後は革クリームを塗り、修復した跡が目立たないように調整します。

Q.補修に必要なアイテムは何ですか?
A.基本的な補修には、ブラシ、布、革クリーム、補修剤、紙やすり、そしてシューキーパーが必要です。キズの種類に応じてこれらを使い分けます。

Q.革靴のメンテナンスにはどれくらいの頻度が必要ですか?
A.革靴のメンテナンスは、日常的にホコリや汚れをブラシで取り除き、定期的に革クリームで栄養を補給することが大切です。雨の日などで靴が濡れた場合は、しっかりと乾かしてから革クリームを塗ります。

Q.ワックス仕上げの効果は何ですか?
A.ワックスは革靴に鏡面のような光沢を与え、フォーマルなシーンで美しく見せることができます。また、擦りキズの予防効果も期待できます。

Q.革靴のキズ補修をプロに依頼するメリットは?
A.プロに依頼することで、専門的な技術と知識を活かし、素人では難しい仕上りを実現します。

Q.下駄箱での革靴の保管方法は?
A.下駄箱内の通気性を確保し、靴を並べる際に少し間隔を開けます。また、湿気対策では除湿剤を置き、革靴を長期間保管する際には通気性の良い布カバーに入れます。

Q.シューキーパーの使用方法は?
A.履いた後の革靴にシューキーパーを入れることで、靴の形を整えシワを防ぎます。

【参考資料】
コロンブス オンライン公式ショップ
https://columbus-shop.com/item-detail/1054493

『靴のキズ補修 前編 アドベースでキズを埋める 』教えて!!三橋先生 Lesson1【コロンブス公式動画】
https://www.youtube.com/watch?v=dj-snD4KaO0

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この記事の監修者

サニクリーン 家事ネタ担当課長

サニクリーン 家事ネタ担当課長

お客様の「掃除の悩み」を解決する「「サニクリーンおそうじマイスター制度(上級ライセンス)」」に加えて、さらにハウスキーピング協会認定資格の「整理収納アドバイザー準1級」を取得しております。

藤原千秋

藤原千秋

「家のなか」の事をテーマにウェブ、雑誌、書籍、新聞等で執筆。大手住宅メーカー営業職を経て
2001年よりAllAboutガイド。きほんから新発想まで 家事ずかん750』(朝日新聞出版)等、著監
修書多数。2020年より東京中日新聞にてコラム『住箱のスミ』連載中。2018年よりTBSラジオ『ジ
ェーン・スー 生活は踊る』水曜月1レギュラー出演中。
AllAbout 家事・掃除・子育て
https://allabout.co.jp/gm/gp/31/
Yahoo!ニュース個人
https://news.yahoo.co.jp/byline/fujiwarachiaki
文春オンライン
https://bunshun.jp/list/author/61444eb47765619d04010000
集英社LEEweb
https://lee.hpplus.jp/column/series/souji/

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