寝つきがよくなる寝室のつくり方
4人に1人が睡眠に不満を抱えている
夜、なかなか眠ることができない…。
現在、日本では約4人に1人が「睡眠で休養が取れていない」と感じていると言われています。睡眠不足は、生活習慣病やうつ病の原因になるばかりではなく運転時の交通事故の危険性も高めます。
例えば、全米自動車協会交通安全財団が、午前6時から深夜0時までの時間帯に発生した交通事故4,571件のドライバー(7,234人)を対象に行った調査では、事故を起こした24時間前に適切な睡眠時間とされる“7時間”を超える睡眠をとったドライバーにくらべ、“4時間未満”しか眠っていないドライバーの事故発生率は“11.5倍”に跳ねあがることがわかりました。
このように良質な睡眠は、心身の健康維持や交通事故の防止にもつながるのです。
静かすぎるのもよくない!?
「心地よく眠るためには、とにかく静かでなければならない!」と思っている方は多いと思います。
しかし、人の気配さえしない無音な空間では、不安を感じることでかえって寝つきを悪くしてしまうことがあるようです。
無音な空間よりも、人のささやき声程度の音(30~40デシベル)がしている方が、睡眠には最適だという報告もあります。
もし寝つきが悪く“いわれてみれば静かすぎる”と感じたら、リラックスしやすいヒーリング系の音楽や、ホワイトノイズ(テレビのザーザー音)と呼ばれる“雑音”を小さな音で流すとその退屈さから眠ってしまうことがあるようです。
ちなみに、どちらの音もYouTubeで簡単に聞くことができます。
また、いくら人のささやき声程度の音が眠りによいとはいえ、家の外から聞こえてくる雑音は不快と感じるものです。
そんな時は、厚手のカーテンを窓に取りつけて屋外からの音を和らげたり、隣室の音が気になる場合には、隣に面している壁にタンスなどの家具を集中的に置いて音を遮るなどの遮音対策を行いましょう。
寝室は月明りぐらいの明るさがちょうどよい!?
寝室を真っ暗にしていて寝つきが悪いと感じたら「月明かり程度の明るさ」を寝室に加えてみましょう。
なぜ月明りなのか?
それは、ぼんやりとしたやさしい感じの月明りは、胎児が母親の子宮にいるときに感じる明るさとほぼ同じといわれているからです。
安心して眠っていられた胎児だったころの記憶が、無意識に安心を呼び起こして安らかな眠りを誘うのかもしれませんね。
そこで、月明りと同じ程度の明るさにするために、電球(またはLED)を「30ルクス」の明るさにしてみましょう。
夜のリビングはだいたい200ルクス前後あれば十分といわれているので、30ルクスがいかに弱い明かりかがわかります。
また同じ30ルクスでも、光の色や当たり方によってリラックス効果は変わってきます。
オレンジ系の照明で寝室をぼんやりと照らすと、より一層リラックス効果が高まるといわれています。

天井照明の非常灯でもOK
ちなみにルクスとは、照明にあてられた場所の明るさをあらわす単位なので、照明そのものの明かりの強さではありません。
ルクスはメーカーのホームページで確認することができます。購入前に確認しましょう。
また、明かりといえば、近年「ブルーライト」が問題視されています。
ブルーライトとは自然界に存在する7色の光のひとつ(青い光)で、パソコンやスマートフォンなどの液晶画面から多く発せられています。

スマホはほどほどに
夜間や就寝前にスマートフォンを見てブルーライトを長時間浴び続けると、睡眠ホルモンの一種である「メラトニン」の分泌が抑制されます。これにより、体内時計が狂って睡眠障害が引き起こされます。
どうやら、就寝前のパソコンやスマートフォンの長時間使用は控えた方がよさそうですね。
空気清浄機や加湿器で、湿度や空気の流れにこだわろう
心地よい眠りのためには、寝室の湿度や空気の流れもポイントになります。
目安となる湿度は60%です。それをあまり上回らないように、あるいは下回らないようにエアコンのドライ機能や加湿器などを使って調整しましょう。
また、空気がほとんど動かないどんよりとした状態は、寝室の快適性を損ねることがあります。そんなときは空気清浄機などを使って、寝室に空気の流れをつくってあげましょう。
家事や育児そして仕事には、質のよい睡眠が大切。心地よい睡眠で、ストレスをためないように心がけましょう!
<参考資料>
CNN
https://www.cnn.co.jp/fringe/35093335.html
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08789.html
公益財団法人 精神・神経科学振興財団「ねむりんねっと」
http://www.jfnm.or.jp/nemurin/index.html
※2025年1月31日 本文改訂