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喫煙室に求められる基準・条件と喫煙室のタイプ

2020.05.29

2020年4月1日に全面施行された改正健康増進法。病院や学校、飲食店やオフィスなど、多くの施設において「原則禁煙」が義務化された一方で、国が求める基準をクリアした喫煙室を設けることで喫煙を認めることもできます。また、改正健康増進法では、喫煙室を4つのタイプに分類しています。

喫煙室の設置をお考えの方は、喫煙室に求められる基準を把握するとともに、どのタイプの喫煙室を設けることができるのか?(設けるべきなのか?)を理解しておく必要があります。今回は、喫煙室に求められる基準・条件と喫煙室のタイプについて解説してきましょう。

受動喫煙を防止できる喫煙室を!


改正健康増進法の施行により、オフィスや飲食店などの第二種施設は原則として「屋内禁煙」になりました。喫煙室を設置することで喫煙を認めることができますが、この喫煙室は排煙性能など一定の基準をクリアしている必要があります。従来のように、パーテーションで区切って灰皿を置けばOKというわけにはいきませんし、喫煙と禁煙を時間によって切り替える時間帯分煙も認められません。

喫煙室に求められる技術的基準とは?

改正健康増進法の目的は、望まない受動喫煙を防止することです。そうである以上、喫煙室を設ける場合も室外にたばこの煙やにおいが流出しないようにして、室外にいる人の受動喫煙を防止しなければいけません。

喫煙室は、具体的に以下3つの技術的基準を満たす必要があります。

(1)出入口において、室外から室内へ空気が「0.2m/秒以上」の風速で流入するようにする。
(2)たばこの煙が室外に漏れ出ないよう、壁・天井などによって区画する。
(3)たばこの煙を屋外に排気する(屋外排気)。

喫煙室用ワンパス脱臭装置OP100(提供:株式会社J.G.コーポレーション)

3つの基準のうち、特に問題になるのが(3)の屋外排気です。(3)を満たすには、喫煙室に排気ダクトや換気扇が必要になりますが、テナントとして入っている施設・店舗などは建物所有者の承諾が得られないケースも考えられますし、建物の構造上、排気ダクトを設けられないこともあります。また、ダクト工事ができたとしても多額の費用を要する場合もあります。

このような事情によって屋外排気が難しい施設は、経過措置として、以下の2点を満たした「脱煙機能付喫煙ブース」を設置して屋内排気をすることが認められています。

  • 総揮発性有機化合物(TVOC)の除去率が95%以上であること
  • 浄化により室外に排気される空気における浮遊粉じんの量が0.015mg/m3以下であること

工事不要で喫煙室を設置できる「脱煙機能付喫煙ブース」の詳細は、以下で解説しています。
>> たばこの煙の屋外排気ができない施設の分煙対策(脱煙機能付喫煙ブースのご紹介)

なお、設置した喫煙室が基準に適合していないと罰則を受ける可能性があります。改正健康増進法における義務と罰則は、以下の記事を参考にしてください。
>> 受動喫煙防止対策(改正健康増進法)の義務と罰則

4つのタイプの喫煙室


改正健康増進法では、施設の事業内容や喫煙の方法などによって喫煙室を以下の4タイプに分類しています。

なお、喫煙室を設けた施設には標識の掲示が義務付けられており、施設の出入口や喫煙室の出入口に指定された標識を掲示する必要があります。標識と合わせて、各喫煙室の特徴を見ていきましょう。

喫煙専用室とは?

施設の出入口に掲示する標識 喫煙室の出入口に掲示する標識


オフィスや飲食店などの第二種施設では、改正健康増進法の施行後も施設の一部に「喫煙専用室」を設けることができます。

喫煙専用室は「たばこを吸うためだけのスペース」です。したがって、紙巻たばこの喫煙はできますが、飲食や会議などをすることはできません

加熱式たばこ専用喫煙室とは?

施設の出入口に掲示する標識 喫煙室の出入口に掲示する標識


オフィスや飲食店などの第二種施設では、改正健康増進法の施行後も施設の一部に「加熱式たばこ専用喫煙室」を設けることができます。

加熱式たばこ専用喫煙室では、加熱式たばこの喫煙ができます(紙巻たばこの喫煙はできません)。また、喫煙専用室と違い、加熱式たばこ専用喫煙室では飲食などをすることもできます。

喫煙目的室とは?

施設の一部に喫煙目的室を設ける場合 全体を喫煙目的室とする場合
施設の出入口に掲示する標識 喫煙室の出入口に掲示する標識 施設の出入口に掲示する標識



バーやスナックなど、喫煙をサービスの目的とする施設(喫煙目的施設)は、「喫煙目的室」を設けることができます。喫煙目的室では、喫煙に加え飲食(主食を除く)も可能です。

喫煙可能室とは?

施設の一部に喫煙可能室を設ける場合 全体を喫煙可能室とする場合
施設の出入口に掲示する標識 喫煙室の出入口に掲示する標識 施設の出入口に掲示する標識



喫煙可能室は、既存の小規模飲食店にのみ認められる喫煙室です(経過措置)。改正健康増進法が全面施行された2020年4月1日より前に開業しており、資本金が5,000万円以下で、客席面積が100m2以下の飲食店は「既存特定飲食提供施設」という扱いになり、喫煙可能室を設置することができます。

喫煙可能室は、たばこの喫煙も飲食も認められます。また、店内のすべてを喫煙可能室とすること(喫煙可能店)もできますし、店内の一部を喫煙可能室とすることも可能です。店内全体を喫煙可能室とする場合、店舗そのものを20歳未満入店禁止にする必要があります。店内の一部を喫煙可能室にする場合、喫煙室の外にたばこの煙が流出するのを防ぐ対策が必要になります。

このように、どちらを選択するかによって求められる対策や掲示すべき標識が変わってきます。

4つのタイプの喫煙室まとめ

設置する場所 たばこの喫煙 飲食 20歳未満の立入
喫煙専用室 店内の一部 × ×
加熱式たばこ専用喫煙室 店内の一部
(加熱式たばこに限る)
×
喫煙目的室 店内の全部
または一部
×
喫煙可能室 店内の全部
または一部
×

なお、喫煙室を設けた施設は、標識掲示の義務に違反すると罰則を受ける可能性があります。改正健康増進法における義務と罰則は、以下の記事を参考にしてください。
>> 受動喫煙防止対策(改正健康増進法)の義務と罰則

分煙コンサルティングのすすめ

分煙対策は、施設ごとに最適な「オーダーメイドの対策」を講じることが重要です。とはいえ、各施設の判断で最適な対策を講じるのは容易ではなく、受動喫煙防止の基準を満たした喫煙室を設けるのも難しいものです。
もし、分煙対策でお困りなら「分煙コンサルティング」のご利用をおすすめします。立地環境や予算だけでなく、お店が抱えている様々な事情を考慮してオーダーメイドの分煙環境をご提案するのが分煙コンサルティングです。

清掃・環境衛生管理の「株式会社サニクリーン」と、空気清浄機などの空調トップブランド「株式会社J.G.コーポレーション」は、共同で分煙コンサルティングをご提供しております。飲食店をはじめオフィスやホテルなど幅広い実績がございますので、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

<関連記事(サイト)>
>> 改正健康増進法とは?
>> 受動喫煙防止対策(改正健康増進法)の義務と罰則
>> 受動喫煙防止対策の助成金・税制措置

<参考文献>
受動喫煙対策(厚生労働省)

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