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受動喫煙防止対策(改正健康増進法)の義務と罰則

2020.05.29

病院や学校、飲食店やオフィスのみなさま、受動喫煙防止対策はお済みでしょうか。喫煙室を整備している施設でも、実は「喫煙室が基準に適合していない」というケースが散見されます。

改正健康増進法では、喫煙室の基準など受動喫煙防止対策に関して様々な規定が設けられており、違反すると最大50万円の罰金が課せられます。事業者のみなさまは、受動喫煙防止対策(改正健康増進法)の義務と罰則について今一度、確認しておきましょう。

改正健康増進法によって義務付けられたこと


改正健康増進法では、施設の管理権原者などに「喫煙禁止場所に灰皿を置いてはいけない」「喫煙室は基準に適合していなければいけない」といったことを義務付けています。さらに、違反者に罰則を課すことで受動喫煙防止の徹底を図っています。

改正健康増進法の義務と罰則に関する一覧は以下のとおりです(厚生労働省のサイトより引用)。

義務対象 義務の内容 指導・助言 勧告・公表・命令 過料
全ての者 喫煙禁止場所における喫煙禁止 ○(30万円以下)
紛らわしい標識の掲示禁止・標識の汚損等の禁止 ○(50万円以下)
施設等の管理権原者 喫煙器具・設備等の撤去等* ○(50万円以下)
喫煙室の基準適合 ○(50万円以下)
施設要件の適合(喫煙目的施設に限る) ○(50万円以下)
施設標識の掲示 ○(50万円以下)
施設標識の除去 ○(30万円以下)
書類の保存(喫煙目的施設・既存特定飲食提供施設に限る) ○(20万円以下)
立入検査への対応* ○(20万円以下)
20歳未満の者の喫煙室への立入禁止*
広告・宣伝(喫煙専用室以外の喫煙室設置施設等に限る)*

*を付した項目は、管理権原者に加え、施設の管理者にも義務が発生します。

なお、「管理権原者」とは、その施設における受動喫煙防止の取り組みについて、方針の判断や決定を行なう者のことで、ビルや店舗のオーナーなどが想定されます。一方で「管理者」とは、事実上、現場の管理を行なう者のことで、店長、施設長、工場長などが該当すると考えられます。

ポイントになる義務内容をピックアップしてご説明します。

喫煙禁止場所における喫煙禁止


施設における喫煙禁止場所で喫煙をした人は、30万円以下の過料に処されることがあります。施設の管理権原者などは、喫煙禁止場所で喫煙している者、あるいは喫煙をしようとしている者に対し、喫煙の中止または禁煙エリアからの退出を求めなければいけません。

紛らわしい標識の掲示禁止・標識の汚損等の禁止

施設内に喫煙室を設ける場合、施設の出入口や喫煙室の出入口に標識を掲示しなければいけません。標識は見えやすい箇所に掲示する必要があり、紛らわしい標識を掲示したり、標識が汚損したりしていると罰則の対象になります。

改正健康増進法では、喫煙室を4つのタイプに分類しており、それぞれで掲出すべき標識が異なります。喫煙室のタイプについては、以下の記事で詳しく解説しています。
>> 喫煙室に求められる基準・条件と喫煙室のタイプ

なお、標識は厚生労働省のサイトからダウンロードできますが、必ずしも同一のものを掲示する必要はなく、施設の管理権原者が作成したものでも構いません。ただし、喫煙室への20歳未満の者の立入禁止など、必要事項が容易に識別できる標識でなければいけません。

喫煙器具・設備等の撤去等


施設の管理権原者などは、喫煙禁止場所に灰皿やスモークテーブルを設置してはいけません。この規定に違反すると50万円以下の過料に処されることがあります。

喫煙室の基準適合

改正健康増進法の施行により、オフィスや飲食店などの第二種施設は原則として「屋内禁煙」になりましたが、喫煙室を設置することで喫煙を認めることができます。ただし、この喫煙室は受動喫煙を防止するための一定基準をクリアしていなければいけません。

たばこの煙の流出を防止するための技術的基準

(1)出入口において、室外から室内へ空気が「0.2m/秒以上」の風速で流入するようにする。
(2)たばこの煙が室外に漏れ出ないよう、壁・天井などによって区画する。
(3)たばこの煙を屋外に排気する(屋外排気)。

喫煙室が上記の基準に適合していない場合は、50万円以下の過料に処されることがあります。

20歳未満の者の喫煙室への立入禁止

改正健康増進法では、未成年者の受動喫煙防止を徹底しています。そのため、20歳未満の人は喫煙室への立入が禁止されています。この規定は従業員も例外ではなく、20歳未満の従業員はたとえ掃除をするためでも喫煙室に入ることはできません。

この規定に違反した場合は、都道府県知事から指導を受ける可能性があります。

義務違反の場合の罰則について


改正健康増進法は、違反した場合の罰則規定があり、違反者には過料が科されることがあります。ただし、違反が明らかになったからといって突然過料が科されることはありません。まず指導・命令が行われ、義務違反の内容に応じて勧告・命令などが行われ、それでも改善が見られない場合に限って罰則(過料)が適用されます。

受動喫煙防止条例も要チェック!

ここまで解説してきたのは、国が定めた改正健康増進法の義務です。自治体によっては国よりも厳しい「受動喫煙防止条例」を設けているところがあり、義務内容や罰則が異なるケースがあります。

たとえば改正健康増進法では、喫煙室を設ける場合、標識の掲示を義務付けていますが、禁煙の施設に標識掲示義務はありません。しかし、東京都や大阪府の受動喫煙防止条例では、禁煙の飲食店にも禁煙店である標識を掲示するよう義務付けています。改正健康増進法と同時に、自治体の受動喫煙防止条例も併せて確認しておきましょう。

東京都や大阪府の受動喫煙防止条例は、以下の記事で詳しく解説しています。
>>東京都や大阪府の飲食店、受動喫煙防止条例は国より厳しい!? 改正健康増進法との違いとは?

分煙コンサルティングのすすめ


分煙対策は、施設ごとに最適な「オーダーメイドの対策」を講じることが重要です。とはいえ、各施設の判断で最適な対策を講じるのは容易ではなく、受動喫煙防止の基準を満たした喫煙室を設けるのも難しいものです。

もし、分煙対策でお困りなら「分煙コンサルティング」のご利用をおすすめします。立地環境や予算だけでなく、お店が抱えている様々な事情を考慮してオーダーメイドの分煙環境をご提案するのが分煙コンサルティングです。

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<関連記事(サイト)>
>> 改正健康増進法とは?
>> 喫煙室に求められる基準・条件と喫煙室のタイプ
>> 受動喫煙防止対策の助成金・税制措置

<参考文献>
受動喫煙対策(厚生労働省)
東京都受動喫煙防止条例
大阪府受動喫煙防止条例

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