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トイレ産業展で考えるトイレ掃除の未来像

2019.02.19

2018年11月22日、東京ビッグサイト(東京国際展示場)にて開催されているトイレ産業展2018に行ってまいりました。

トイレ産業展のメインテーマは「公共・商業施設トイレの環境改善と進化」。

多種多様で高性能・高機能なトイレを見ていく中で、今後店舗や職場のトイレがどのように発展し、それに伴ってトイレ掃除がどうあるべきなのかを改めて考察してみました。

トイレ産業展2018 (TOILET TOKYO)


(第4回トイレ産業展2018会場)

イベント名 第4回トイレ産業展2018 (TOILET TOKYO 2018)
開催日時 2018年11月20日(火)~22日(木) 10:00~17:00
会場 東京ビッグサイト(有明・東京国際展示場) 西3ホール
出展内容 トイレ機器、Iot周辺機器、内装材・建材、給排水・空調設備、アメニティ・衛生用品、香り製品、トイレ専用清掃用品・洗剤、運営サービス
主催 一般社団法人日本能率協会

日本のトイレは今や世界中に注目される存在となりました。

2020年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会、そして2025年には日本万国博覧会(大阪万博)が開催されます。また、出入国管理法改定により、在日の外国人労働者も増加していきます。

今後はますますインバウンド需要が拡大し、日本のトイレがさまざまな国のライフスタイルにマッチしたスタンダートになっていくことが容易に想像できるでしょう。

そんな中、トイレ産業展2018の注目ポイントとなったのは、「多様化」「品質」「管理」。

自然災害などの有事を想定した仮設型・コンテナ型(ユニット型)のトイレ、トイレ品質を証明する「快適トイレ」や「グッドトイレ」、そしてトイレの利用状況を可視化したIotトイレなど、未来のトイレ像を垣間見ることができました。

多様化するトイレ

まず、仮設トイレ・コンテナ型トイレのブースで目を引いたのが「真空吸引式トイレ」。

流すときに、「コォーッ」と音を立てるあのトイレです。

真空吸引式トイレは飛行機や電車、船などで利用されているので皆さんはご存知かと思いますが、仮設トイレとして真空吸引式を取り入れたものは業界初とのことでした。


(真空吸引式トイレ)

真空吸引式トイレは洗浄する際の水量を抑えるだけでなく、汚物・汚水から出るニオイも遮断することもでき、節水・脱臭どちらにも優れているといった特徴があります。

また、水量を抑えられるということから汚物タンクも小さくすることができ、場所をとらずに設置・運搬ができるのもメリットです。

次に目を引いたのが「バイオトイレ」です。英語では「Composting Toilet(堆肥化トイレ)」と呼ばれることから、コンポストトイレ、コンポスティングトイレとも呼ばれています。

展示されているバイオトイレには、微生物の入った液体を利用した水循環処理型のものと、おがくずを用いた木チップ処理型のものがありました。

バイオトイレも真空吸引式と同様に、節水・脱臭に優れています。

水循環処理型は、微生物により汚水を分解してきれいな水をつくり、それをそのまま洗浄水として利用します。


(水循環処理型バイオトイレ[模型])

写真の中央にあるものが、汚水を洗浄水に変える装置です。汚水を洗浄水として使うというのは「気持ち的」に躊躇しがちですが、水や排水管がない環境ではとても重宝されるトイレです。

一方、木チップ処理型は、水を一切使わず、おがくずに含まれる微生物を利用し、汚物・汚水とおがくずを混合して有機肥料を作り出します。


(木チップ処理型バイオトイレ)

便座の下にはおがくずが敷かれており、排泄物とおがくずを自動でかき混ぜ、有機肥料にするという仕組みです。写真右は、有機肥料を手に取ってみたものになりますが、全くニオイもせず、さらさらな状態でした。

日本では昨今自然災害が多発していますが、被災地におけるトイレ問題や日本の人手不足、資源不足ということを考えると、以上のような真空吸引式トイレやバイオトイレは今後ますます普及していくかもしれませんね。

その他にも、和式洋式をワンタッチで変えられるトイレや場所を取らないコンパクトなトイレや、ソーラーパネルを使った太陽光発電トイレなどが見られました。

普段、お店や仕事場、公共施設で何気なく使っているトイレですが、このようにトイレは私たちの知らないところで大きく変化し続けています。

快適トイレとグッドトイレ

トイレ産業展では、トイレ品質改善・推進の取り組みも見られました。

関連各社がアピールフレーズとして使っていた「快適トイレ」という言葉をご存知でしょうか。

「快適トイレ」とは、ただ単に”快適なトイレ”という意味として使われるものではありません。2016年、国土交通省が、建設現場で男性・女性が共に働きやすい環境を作る取り組みの一環として、男女共に快適に利用できる仮設トイレを「快適トイレ」とする枠組みを定めました。

この「快適トイレ」という言葉を使うには、ある一定の標準仕様をクリアする必要があります。


(快適トイレ標準仕様一部抜粋)

ご覧の通り、和式トイレは快適トイレにはなりませんし、衣類掛けがなかったり便座除菌シート等の衛生用品がなかったりした場合も、快適トイレとは言えません。

非常にシビアに設定されていることが分かります。

一方、「グッドトイレ」はいかがでしょうか。こちらも聞きなれない言葉かと思います。

グッドトイレとは、一般社団法人日本トイレ協会が定めたもので、おもてなしの心がこもったトイレを「グッドトイレ」と名付けています。

グッドトイレも快適トイレと同様に、仕様が細かく規定されています。

快適トイレと標準仕様が類似している点もありますが、大きく異なるのは「外国人の利用を意識しているかいないか」という点で、温水洗浄便座の設置や多言語表記、ハンドドライヤーやペーパータオルの設置など、外国文化に合わせた基準を満たすことを求める内容も含まれています。

快適トイレもグッドトイレも、基準こそ厳しいものの、誰もが安心して利用できるトイレ環境づくりという点では共感できる取り組みですね。

利用状況を可視化するトイレ

最近人気沸騰中のIot家電。

Iotトイレも2017年頃からよく見聞きするようになりました。

トイレ産業展で見られたものは、ドアの開閉によりトイレの空き状況を確認したり、どのくらいの人が利用しているのか稼働率を確認できるIotトイレです。

トイレに行ったら満室で使えなかったという「ちょっとした不満」を解決したり、どのくらいのトイレを設置する必要があるのかを把握して利用状況の改善に役立てたりすることができます。

また、会場にはありませんでしたが、排泄物の成分を瞬時に分析して、利用者の健康状況を提示したり、そのデータとスマホのアプリとを連動させて健康状況を継続的に管理するといったIotトイレも開発されてきています。

蓄積された排泄物を有機肥料や洗浄水に変えるだけに留まらず、データをも蓄積して有用な医療データに変え人間の健康管理に役立てる…これまでのトイレの常識が今や非常識になりつつあります。

Iotというと、ただただデータに慣れた世代向けの便利なもので、高齢者や障がい者にはやさしくないというイメージを持ちがちですが、決してそんなことはありません。データをうまく活用して快適な利用環境を作り出したり、人の健康に役立つものに変えていったりと、利用者が使い方に慣れる必要なく大きな役割を果たしているのです。

未来に必要なトイレ掃除とは

トイレ産業展では、主に機能、品質、管理技術といった面でどのような取り組みがなされているのか、今後トイレがどのように発展していくのかを見ることができました。

未来に必要なトイレ像、次の8つのポイントに集約されるのではないでしょうか。

老若男女、誰もが安心して使える

文化や習慣に合わせて使える

災害等の緊急時でも使える

時間に制約されることなく使える

場所に制約されることなく使える

自然に優しく使える

衛生的に使える

人の健康に役立つように使える

これらはトイレにだけ言えることではありません。

私たちが展開するトイレ掃除サービスにも同様のことが言えます

トイレが多様化すれば清掃方法もそれに合わせて多様化します。トイレだけが高品質であればよいというわけではありません。トイレをきれいに保つためのお掃除サービスも品質の高いものでなければなりません。

またIotを使ったトイレ掃除サービスも、あって当たり前の時代がやってくるかもしれません。利用状況や汚れ具合を数値化し、それから必要な掃除方法をAIが判断する、そして人の手を汚さずロボットが新品同様になるまで掃除をしてくれる、そういった光景も遠い未来のことではないでしょう。

店舗や職場で利用するトイレをどのように掃除をすれば快適に使ってもらえるようになるのか。

誰もが「きれい」だと思ってもらえるトイレになるようにどのくらいの頻度でどの程度清掃すればよいのか。

災害時のトイレ清掃に困らないようできることはないのか。

環境にやさしく、尚且つ人体にも優しいトイレになるようどのようにメンテナンスをしていけばいいのか。

人間が担える範囲、AIやロボットが担える範囲。

誰にとっても快適なトイレ、グッドなトイレにするためのお掃除サービスを、私たちは絶えず考え続けています。

店舗や職場のトイレ環境改善

カフェやレストラン、公共施設や職場のトイレを見ていると、ここ数年でトイレ環境は大きく様変わりしていると感じます。快適に使えるトイレ環境が増えてきましたね。

今、その変化の重要なキーワードとなっているのが「女性」。

お化粧がしやすいような手洗いスペース、着替えができる専用スペースといったトイレ環境の他、音姫が設置されていなかった時にスマホで流水音を流せるアプリや、男女共用トイレで「立って」することを禁止にするルールなど、ツールや使い方にも女性目線の考え方が世の中に浸透してきています。

先述の「快適トイレ」も、元は建設現場で働く女性が安心してトイレを使えるようにするためにつくられた基準です。

このように女性を意識したトイレが増えてきたのは、女性就業者数の増加が背景の一つとして挙げられるかもしれません。

総務省の労働力調査を見ると、日本では人口は減少しているものの、女性の就業者数は年々増加傾向で、特に20代半ば~30代半ば、50代前半~60代前半の女性の就業者数は大きく増加してきていることが分かります。

女性が社会進出しやすいように、これまで男性の多かった職場を中心に、トイレ環境をはじめとする職場環境が改善されてきたというわけです。

「女性が元気な職場はいい職場」

「女性がたくさん来るお店は元気なお店」

とよく言われますが、そのような職場、お店にするために、まずはトイレ環境の整備から始め、雇用安定化や顧客のリピート率改善に取り組まれている企業様や店舗様が増えています。

さて、私たちの考えるトイレのお掃除サービスは、もちろんトイレをきれいにするということが大前提としてありますが、それ以上に、元気な職場、元気なお店にするためのトイレ掃除というものを考えています。

トイレ掃除をするために、トイレに対する知見、トイレ掃除に対する専門性が欠かせないことは言うまでもありません。

トイレ掃除で元気なお店・職場にするためには、飲食店やデパート、スーパー、営業事務所など、各業界業種の職場環境への理解、そして女性への理解が必要です。なかなかAIやロボットでも一筋縄ではいかない部分ではないでしょうか。

一店舗、一職場ごとにそれぞれのトイレ環境があり、それぞれのお客様が目指されている「元気な職場、元気な店舗」があります。そこから各店舗、職場にぴったりなお掃除サービスをご提供すること、これが私たちが担える役割だと考えています。

[参照]

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