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改正健康増進法とは?

2020.05.29

2020年4月1日に全面施行された改正健康増進法。病院や学校、飲食店やオフィスなど、多くの施設において原則「敷地内禁煙」「屋内禁煙」が義務化されました。一方で、喫煙を認める例外や経過措置もあり、改正法を分かりにくいものにしています。本記事では、最低限押さえておきたい「改正健康増進法の基本」を解説していきます。

改正健康増進法の「目的」は受動喫煙の防止


2018年7月、健康増進法の一部を改正する法律が成立しました。いわゆる「改正健康増進法」で、2020年4月1日に全面施行されています。

改正健康増進法の目的は「望まない受動喫煙を防止すること」であり、受動喫煙防止対策の厳格化が図られています。

なお、同法における受動喫煙とは「人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされること」を言います。たばこの先から出る煙や喫煙者が吐き出した煙には有害物質が多く含まれており、非喫煙者がそれを吸うことで健康に悪影響が及ぶことから、長い間、受動喫煙は社会問題となっていました。この受動喫煙を防ぐための法整備が、今回の改正健康増進法というわけです。

改正健康増進法の「概要」を知ろう!

改正健康増進法は受動喫煙の防止を図るため、多くの人が利用する施設に「原則屋内禁煙」を求めています。例外的に喫煙が認められるケースもありますが、その場合は一定基準を満たした各種喫煙室の設置が必要になります。各種喫煙室についての詳細は、以下の記事を参考にしてください。
>> 喫煙室に求められる基準・条件と喫煙室のタイプ

第一種施設と第二種施設の違い


改正健康増進法では、多くの人が利用する施設を「第一種施設」と「第二種施設」に区分しています。

第一種施設 第ニ種施設
受動喫煙によって健康を損なうリスクが高い子どもや患者などが主として利用する施設や、国・地方公共団体の行政機関の庁舎。 第一種施設および喫煙目的施設(※)を除く施設。
※ 喫煙目的施設:喫煙をする場所の提供を主たる目的とする施設のこと。公衆喫煙所や喫煙を主目的とするバー・スナック、店内で喫煙可能なたばこ販売店など。
・学校・児童福祉施設
・病院・診療所
・行政機関の庁舎
など
・事務所
・工場
・ホテル・旅館
・飲食店
など

第一種施設は原則「敷地内禁煙」

原則 敷地内は禁煙
例外1 受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた屋外の場所では、喫煙が許容される。

学校や行政機関などの第一種施設は、原則として「敷地内禁煙」になります。ただし、以下の条件を満した屋外喫煙所であれば設置が認められます。

(1)喫煙できる場所を区画している
(2)法令により指定された標識を掲示している
(3)施設利用者が通常立ち入らない場所に設置する

第二種施設は原則「屋内禁煙」

原則 屋内禁煙
例外1 店内の一部に喫煙室を設ければ、屋内での喫煙を認めることができる。
例外2 小規模の既存の飲食店「既存特定飲食提供施設」は、屋内での喫煙を認めることができる。

オフィスや飲食店などの第二種施設は、原則として「屋内禁煙」になります。ただし、国が定めた基準をクリアした喫煙室(喫煙専用室・加熱式たばこ専用喫煙室)を設けることで屋内での喫煙を認めることができます。

また、第二種施設のなかでも規模の小さい飲食店「既存特定飲食提供施設」は経過措置が設けられており、喫煙室を設けなくても屋内での喫煙を認めることができます(喫煙可能室)。「既存特定飲食提供施設」に該当するには、以下の3つの条件をすべて満たしている必要があります。

(1)2020年4月1日時点で営業している
(2)資本金が5,000万円以下である
(3)客席面積が100m2以下である

屋内での喫煙が認められる「喫煙専用室」「加熱式たばこ専用喫煙室」「喫煙可能室」についての詳細は、以下の記事を参考にしてください。
>> 喫煙室に求められる基準・条件と喫煙室のタイプ

喫煙室を設置すれば終わりじゃない!?

第二種施設が屋内での喫煙を認める場合、国が定めた基準を満たした喫煙室を設ける必要がありますが、喫煙室を設置すれば終わりではありません。改正健康増進法によって設けられた2つのルールはぜひ押さえておきましょう。

未成年者を喫煙室に立ち入らせてはいけない!


望まない受動喫煙を防止するため、改正健康増進法では未成年者の受動喫煙防止を徹底しています。そのため、20歳未満の人は喫煙可能エリアへの立入が禁止されています。

ここで注意が必要なのが、従業員も例外ではないということです。たとえば、飲食店が喫煙室を設けた場合、その喫煙室に20歳未満のお客さんを立入禁止にするだけでなく、従業員の立入も禁止する必要があります。従業員は、たとえ掃除をするためでも喫煙室に入ることはできません。

したがって、喫煙室を設けた飲食店などでは以下のような対策が求められます。

  • 20歳未満と思われる者が喫煙室に立ち入ろうとしている場合、年齢確認をするなどして、喫煙室に立ち入らせないようにする。
  • 20歳未満の従業員を雇用している場合、喫煙可能エリアに立ち入る必要がないよう、勤務シフトや清掃などの業務内容に配慮し、店内のレイアウト・動線を工夫する。

標識を掲示しなければいけない!

改正健康増進法では、喫煙室を設けた施設に標識の掲示を義務付けています。施設の出入口や喫煙室の出入口の見やすい箇所に、指定された標識を掲示しなければいけません。

施設の出入口に掲示する標識

各種喫煙室を設置した施設は、施設内に喫煙室があることを示すために以下のような標識を施設の出入口に掲示する必要があります。


喫煙室の出入口に掲示する標識


また、さらに各種喫煙室の出入口には、以下のような標識を掲示する必要があります。

国の基準をクリアした喫煙室を設けていても、標識の掲示を怠ると罰則を受ける可能性があります。改正健康増進法の義務と罰則は、以下の記事を参考にしてください。

>> 受動喫煙防止対策(改正健康増進法)の義務と罰則

また、標識は全部で16種類あり、必要な場合は厚生労働省のサイトからダウンロードできます。
>> 標識の一覧|なくそう!望まない受動喫煙

分煙コンサルティングのすすめ

分煙対策は、施設ごとに最適な「オーダーメイドの対策」を講じることが重要です。とはいえ、各施設の判断で最適な対策を講じるのは容易ではなく、受動喫煙防止の基準を満たした喫煙室を設けるのも難しいものです。

もし、分煙対策でお困りなら「分煙コンサルティング」のご利用をおすすめします。立地環境や予算だけでなく、お店が抱えている様々な事情を考慮してオーダーメイドの分煙環境をご提案するのが分煙コンサルティングです。

清掃・環境衛生管理の「株式会社サニクリーン」と、空気清浄機などの空調トップブランド「株式会社J.G.コーポレーション」は、共同で分煙コンサルティングをご提供しております。飲食店をはじめオフィスやホテルなど幅広い実績がございますので、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

<関連記事(サイト)>
>> 受動喫煙防止対策(改正健康増進法)の義務と罰則
> 喫煙室に求められる基準・条件と喫煙室のタイプ
> 受動喫煙防止対策の助成金・税制措置

<参考文献>
受動喫煙対策(厚生労働省)

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