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受動喫煙防止対策の助成金・税制措置

2020.05.29

改正健康増進法の施行によって、飲食店やオフィスなどは「原則屋内禁煙」とされましたが、一定の基準を満たした喫煙室を設けることで屋内での喫煙が認められます。実際に、喫煙者の客離れを懸念して喫煙室を設ける飲食店も少なくありませんし、たばこを吸う従業員のために喫煙室を設けるオフィスもあります。

しかしながら、費用がネックになって喫煙室設置をためらっている方もいらっしゃいます。今回は、そんなみなさまのため、喫煙室設置に活用できる助成金情報や、税制面での優遇措置について解説していきます。

オフィスや飲食店などが屋内での喫煙を認める場合、受動喫煙を防止するために一定基準をクリアした喫煙室を設ける必要があります。具体的には、喫煙室の外にたばこの煙やにおいが流出しないよう、以下の技術的基準を満たす必要があります。

(1)出入口において、室外から室内へ空気が「0.2m/秒以上」の風速で流入するようにする。
(2)たばこの煙が室外に漏れ出ないよう、壁・天井などによって区画する。
(3)たばこの煙を屋外に排気する(屋外排気)。

これらの基準をクリアする喫煙室を設けるのは簡単ではなく、特に小規模事業者にとっては費用負担も大きなものになります。そこで、うまく活用したいのが助成金や税制上の優遇措置です。喫煙室の設置に活用できる制度をご紹介します。

【国の助成金】受動喫煙防止対策助成金


オフィスや飲食店が、受動喫煙対策として一定基準を満たす喫煙室を設置する際、その費用について助成を受けることができます。

助成金の対象となる事業者

中小企業事業主(※)は、本助成金を受けることができます。以下の「常時雇用する労働者数」か「資本金または出資の総額」のいずれか一方の条件を満たせば、中小企業事業主に該当します。
※ 労働者災害補償保険の適用事業主に限ります。

業種 常時雇用する
労働者数
資本金
小売業 小売業、飲食店、配達飲食サービス業 50人以下 5,000万円以下
サービス業 物品賃貸業、宿泊業、娯楽業、医療・福祉、複合サービス(例:協同組合)など 100人以下 5,000万円以下
卸売業 卸売業 100人以下 1億円以下
その他の業種 農業、林業、漁業、建設業、製造業、運輸業、金融業、保険業など 300人以下 3億円以下

たとえば飲食店の場合、常時雇用する労働者数が50人以下、もしくは資本金が5,000万円以下であれば、本助成金の対象となります。

助成金の対象となる分煙措置

以下のとおり、各種喫煙室の設置に必要な経費のほか、換気装置の設置などに必要な経費が助成の対象になります。

助成対象 要件 喫煙外の使用
喫煙専用室の設置・改修
(既存特定飲食提供施設)
  • 入口における風速が0.2 m/秒以上
  • 煙が室内から室外に流出しないよう、
    壁、天井などによって区画されていること
  • 煙を屋外または外部の場所に排気すること
×
指定たばこ専用喫煙室の設置・改修
(既存特定飲食提供施設)
  • 入口における風速が0.2 m/秒以上
  • 煙が室内から室外に流出しないよう、
    壁、天井などによって区画されていること
  • 煙を屋外または外部の場所に排気すること
屋外喫煙所(閉鎖系)の設置・改修
(第二種施設)
  • 事業場の屋内を全面禁煙とすること
  • 煙を屋外または外部の場所に排気すること
  • 喫煙所の直近の建物の出入口などにおける
    浮遊粉じん濃度が増加しないこと
×

喫煙室に求められる基準や、改正健康増進法が規定する4タイプの喫煙室については、以下の記事で詳しく解説しています。
>> 喫煙室に求められる基準・条件と喫煙室のタイプ

助成金の金額(助成率)

本助成金は、助成対象経費の2分の1(飲食店は3分の2)が支給されます。上限額は100万円です。

なお、以下のとおり、喫煙室などの「単位面積」に応じて助成対象経費の上限額が決められています。

助成対象 設置する喫煙室などの単位面積あたりの助成対象経費上限額
喫煙専用室の設置・改修 60万円/m2
加熱式たばこ専用喫煙室の設置・改修 60万円/m2
屋外喫煙所の設置・改修 60万円/m2

たとえば、飲食店が2m2の喫煙専用室を設置する場合、助成対象経費は2m2 × 60万円 = 120万円までとなります。飲食店の助成率は3分の2なので、助成額にすると120万円 × 2/3 = 80万円までとなります。

助成金の申請方法など

本助成金に関する最新情報や、助成金申請に関する詳細は以下のページを参照してください。
>> 受動喫煙防止対策助成金(厚生労働省)

【東京都の補助金】喫煙専用室の設置等に対する補助金


喫煙室の設置などに関しては、国の助成金以外に都道府県の助成金を受けられるケースもあります。たとえば、東京都では中小飲食店・宿泊施設の受動喫煙防止対策を支援するために補助金の支給を行っています。

補助金の対象となる事業者

中小飲食店や宿泊施設のうち、以下に該当する事業者が本補助金の対象となります。

  • 東京都内の飲食店(個人または中小企業が経営し、大企業が実質的に経営に参加していない店)
  • 東京都内の宿泊施設

補助金の対象になる分煙措置と上限額

(1)喫煙専用室、加熱式たばこ専用喫煙室の設置
⇒ 1施設につき400万円上限

(2)都が平成27~29年度に実施した「外国人旅行者の受入れに向けた宿泊・飲食施設の分煙環境整備補助金」により整備した分煙設備の撤去などにかかる経費
⇒ 1施設につき150万円上限

【注意!】
(1)(2)ともに、令和2年度の募集は4月1日より開始されています(締切は12月21日)。なお、(2)は過去に「外国人旅行者の~」に基づいて交付決定を受けた施設だけが対象になる補助金であり、既存の分煙設備を撤去して全面禁煙化する場合に利用できます。既存の分煙設備を撤去して、新たに喫煙専用室などを設置する場合は(1)の補助金が対象になります。

補助金の金額(補助率)

・客席面積100m2以下の中小飲食店が行なう上記(1)の分煙措置
⇒ 補助率10分の9

・それ以外の措置(客席面積100m2を超える中小飲食店が行なう上記(1)の分煙措置、および上記(2)の措置)
⇒ 補助率5分の4

補助金の申請方法など

本補助金に関する最新情報や、補助金申請に関する詳細は以下のページを参照してください。
>> 中小飲食店・宿泊施設における受動喫煙防止対策支援(東京都産業労働局)

【優遇税制】商業・サービス業・農林水産業活性化税制


受動喫煙防止のために喫煙室を設置した際に取得した器具・備品や建物附属設備に利用できる優遇税制です。取得価額の特別償却(30%)、または税額控除(7%)の適用を受けることができます。

優遇税制の対象となる事業者

  • 中小企業など(資本金1億円以下の法人、農業協同組合など)
  • 従業員数1,000人以下の個人事業主

※ 税額控除の対象は、資本金3,000万円以下の中小企業など、または個人事業主に限ります。

優遇税制の対象

  • 器具・備品(1台または1基の取得価額が30万円以上)
  • 建物附属設備(1台の取得価額が60万円以上)

優遇税制の申請方法など

本制度に関する最新情報や申請手続きの流れなどは、都道府県中小企業団体中央会、商工会議所、商工会、商店街振興組合連合会、認定経営革新等支援機関などの機関までお問い合わせください。

国と都、両方の助成金・補助金は利用できない


東京都の飲食店の場合、国の助成金や都の補助金を利用して受動喫煙防止対策ができる可能性があります。ただし、国と都、両方の条件に該当する飲食店でも、両方の助成制度を利用することはできません。

単純に金額だけを見れば、東京都の方が上限額が高い(400万円)ので負担は少なく済みそうです。しかしながら、国の助成金と違って既存の喫煙ルームの改修には補助金が下りないなど、条件が異なっています。どんな飲食店がどんな工事をするのかによって、どちらの助成制度を利用すべきか(利用できるのか)が変わってきますので、不明点がある方は専門家に相談するのがいいでしょう。

分煙コンサルティングのすすめ


オフィスや飲食店、宿泊施設などが、助成金・補助金を活用しながら最適な分煙対策を進めていくには専門家のアドバイスが欠かせません。

もし、分煙対策でお困りなら「分煙コンサルティング」のご利用をおすすめします。立地環境や予算だけでなく、お店が抱えている様々な事情を考慮してオーダーメイドの分煙環境をご提案するのが分煙コンサルティングです。

清掃・環境衛生管理の「株式会社サニクリーン」と、空気清浄機などの空調トップブランド「株式会社J.G.コーポレーション」は、共同で分煙コンサルティングをご提供しております。飲食店をはじめオフィスやホテルなど幅広い実績がございますので、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

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