空気を介した感染経路には「飛沫感染」「マイクロ飛沫感染」「空気感染」などの言葉がありますが、WHOは2024年4月にこれらの用語を大幅に整理しました。現在は感染者から放出されるすべての呼吸器粒子による吸入感染を「空気を介した感染」と統合的に定義しています。新型コロナウイルスも空気感染することが確認済みです。感染対策では、エアコンの正しい使い方と、30分に1回以上の換気を組み合わせた対策が重要です。
このコラムでは厚生労働省やWHOなどの資料をもとに、これらの違いについてサニクリーンのおそうじマイスターが詳しくご紹介します。
このコラムでお伝えするポイント
- 「飛沫感染」「マイクロ飛沫感染」などの区別はなくなり「空気を介した感染」に統一。
- エアコンは室内の空気を循環させるだけで、外気との入れ替えはしない。
- 空気感染対策には、窓開け換気(30分に1回以上)が効果的。
飛沫感染など、感染経路の用語は大きく変わっています
WHOはコロナ禍における混乱を踏まえ、新しい共通定義を2024年4月18日に発表しました。この改訂の最大のポイントは、従来の「飛沫感染」と「エアロゾル感染」を区別していた「粒子径5マイクロメートル」という基準を撤廃したことです。
新しい体系では、あらゆる粒子サイズの感染性粒子を「感染性呼吸器粒子(IRPs)」と総称します。そして、これらが空気を介して伝わる感染を「空気を介した感染」という包括的な用語でまとめたうえで、以下の2つのサブカテゴリに整理しました。
(1)空気感染/吸入
・感染者から放出されたIRPを、別の人が吸い込むことで起こる感染。
・短距離・長距離を問わない。
(2)直接沈着
・IRPが弾道状の軌跡を描いて飛び、近くにいる人の口・鼻・目の粘膜に直接付着することで起こる感染。
・主に短距離で発生(旧来の「飛沫感染」に近い概念)。
尚、エアロゾル感染とは、日本で使われている「マイクロ飛沫感染」とほぼ同様の意味を持つ国際的な用語となります。マイクロ飛沫感染については、後ほどご紹介します。
飛沫感染とは?

旧来の「飛沫感染」とは、感染者のくしゃみや咳、会話などによって放出されたウイルスを含む飛沫(つばの粒)が、口・鼻・目の粘膜に直接付着・接触することで感染する経路です(吸入とは異なります)。厚生労働省は、粒径5マイクロメートルを超える粒子は「空気中を漂わず1〜2メートルしか到達しない」という前提のもと、感染者から2メートル程度の身体的距離を確保するよう推奨してきました。
ただし、先述した通り、WHOの2024年改訂では、この粒径5マイクロメートルという区切りが廃止されました。改訂後の枠組みでは、感染経路は「空気を介した感染」ということに整理されました。
マイクロ飛沫感染とは?
「マイクロ飛沫感染」という言葉は、新型コロナウイルスの流行時に主に日本国内で使われた概念です。従来の「飛沫(比較的大きな粒子)」だけでは説明できない感染拡大が見られたことから、「より小さな粒子でも感染が起きているのではないか」という問題意識のもとで生まれました。
なお、この用語については当時、国際的には「エアロゾル感染」と定義されていました。また、「定義が曖昧な造語であり科学的妥当性がない」と異論を唱える専門家も当時から複数存在していました。
WHO2024年の改訂後は、粒子サイズによる区分が廃止されたため、旧来の「マイクロ飛沫感染」に相当するケースも、感染性呼吸器粒子(IRPs)による「空気を介した感染」という枠組みに整理されました。
空気感染とは?
これまでご紹介してきたように、「空気感染」とは結局のところ、「感染者から放出されたウイルスや細菌を含む粒子が、空気を介して別の人の体内に入ることで成立する感染経路」の総称ということになります。かつては「粒径5マイクロメートル以下の微小粒子が長距離を漂って感染するもの」と狭く定義されていましたが、WHO 2024年の改訂により、この粒子径による区別は廃止されました。現在は、粒子のサイズにかかわらず、空気中の感染性呼吸器粒子(IRPs)によって起こる感染を広く指します。
新型コロナウイルスは「空気感染」します

以前は「新型コロナウイルスで空気感染は起こらない」とされていましたが、これは現在の公式見解とは異なります。
厚生労働省は2021年10月にホームページを更新し、新型コロナウイルスの感染経路として「エアロゾル感染」を公式に認定しました。さらにWHO2024年の改訂定義のもとでは、新型コロナウイルスは明確に「空気感染する疾患」として分類されています。
基本的な感染対策はどれも共通

感染経路の用語が複雑に見えても、私たちが日常でできる感染対策の基本は変わりません。
□こまめに手を洗う・手指消毒する
□室内の換気を徹底する
□咳エチケットを守る(マスクの適切な着用) など
特に「換気」は、空気感染対策として最も有効な手段のひとつです。次のセクションで詳しく見ていきましょう。
リビングの環境を見直す「換気は30分に1回以上が目安」

家庭内での空気を介した感染対策として、まず見直したいのがリビングの環境です。ここでは換気についてご紹介します。
換気の正しい頻度「30分に1回以上」が推奨
基本の対策はやはり「換気」です。
厚生労働省は「換気回数は毎時2回以上(=30分に1回以上)、数分間、窓を全開する」ことを推奨しています。30分に1回以上を目安に窓や扉を開け、数分間程度しっかり空気を入れ替えましょう。厚生労働省は一人あたり毎時30㎥の換気量を目安として推奨しています。2方向の窓・扉を開けて空気の通り道をつくると、より効率的に換気できます。
また、24時間換気システムが導入されているマンションなどでは、壁にある換気口を常に開けておきましょう。
エアコンの換気機能に注意

一般的な家庭用エアコンは、室内の空気を循環させているだけなので、エアコンをつけているだけでは外気と空気を入れ替える換気の役割を果たしていません。
エアコンは室外機と室内機の間で冷媒ガスを循環させることで、室内空気の熱を移動させる仕組みです。室外の空気を室内に取り込む機能は、一般的な機種には搭載されていません※。
また、家庭用エアコンの吸い込み口にはフィルターがありますが、主な目的はハウスダストなどをエアコン内部に入れないことです。一般的なフィルターは、主にホコリなどの比較的大きな粒子を除去することを目的としており、感染性の微小粒子に対する対策としては十分でない場合が多いとされています。フィルターの性能は種類や構造によって異なるため、一概に粒子の大きさだけで判断できるものではありません。
※一部の機種では外気を取り込む換気機能を持つものがあります。お使いのエアコンの仕様書をご確認ください。
高機能エアコンフィルターを設置しよう
ウイルスなどをそのまま室内に循環させてしまう可能性があるとはいえ、夏の暑い日や冬の寒い日にエアコンを使わないのは現実的ではありません。そこで活用したいのが、高機能エアコンフィルターの設置です。なかでも、細菌類を死滅させる銅イオンの効果に着目した、抗菌・抗ウイルスを謳うフィルターが注目されています。
これらのフィルターを設置することで、エアコン使用によるウイルス感染のリスクを低減させることができます。
抗ウイルス・抗菌・抗カビを実現したエアコンフィルター「フィルドゥ」

サニクリーンの機能性エアコンフィルター「フィルドゥ」は、細菌類を死滅させる性質を持つ銅イオンをフィルターに加工することで「抗ウイルス・抗菌・抗カビ」を実現しました。抗ウイルス試験では、「ウイルス1種(粒子径0.08〜0.12マイクロメートル)」への効果が確認されており(抗ウイルス活性値4.1)、その有効性が立証されています。
なお、新型コロナウイルスの粒子径は0.050〜0.2マイクロメートル程度とされています。
サニクリーンのハウスクリーニングで衛生環境を整えましょう

空気の入れ替えや手洗いなどの感染対策は大切ですが、実はもうひとつ大切なのが「家全体の衛生環境を整えておくこと」です。
日頃から汚れをため込まない環境をつくっておくと、毎日のお掃除もぐっと楽になります。特に一度しっかり汚れをリセットすると、その後は軽いお手入れで清潔を保ちやすくなります。
とはいえ、「換気扇の奥の油汚れ」「シンク排水口のヌメリ」「コンロ周りのこびりつき」など、家庭では落としきれない頑固な汚れもあります。
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まとめ
「飛沫感染」「マイクロ飛沫感染」「空気感染」、これらの言葉はコロナ禍を経て大きく整理されました。WHO 2024年の改訂により、粒子径による旧来の区分は廃止され、現在は感染者から放出されるすべての感染性呼吸器粒子(IRPs)による感染を「空気を介した感染」に統一しています。
用語は変わっても、私たちが日常でできる感染対策の基本は変わりません。
□換気を徹底する(30分に1回以上が目安)。
□一般的なエアコンには換気機能がないことを理解したうえで、窓を開けての換気と組み合わせて使う。
□手洗い・咳エチケットなど基本的な衛生習慣を続ける。
特に「換気」は、空気を介した感染経路に対してもっとも有効な対策のひとつです。正しい知識をもとに、できることから日々の生活に取り入れていきましょう。
<参考資料>
WHO「空気感染する病原体に関する用語(IRP・空気感染の新定義)」https://www.who.int/news/item/18-04-2024-leading-health-agencies-outline-updated-terminology-for-pathogens-that-transmit-through-the-air
日本WHO協会「空気感染する病原体に関する用語の案に関する掲載」https://japan-who.or.jp/news-report/2404-37/
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症はこうした経路で広がっています」https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000657104.pdf
厚生労働省「冬場における『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気について」https://www.mhlw.go.jp/content/000698866.pdf
日本環境感染学会「換気に関する基礎知識」https://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/kanki_kisochishik.pdf
毎日新聞「厚労省『エアロゾル感染』認める 『飛沫と接触』との見解を改め」 https://mainichi.jp/articles/20211029/k00/00m/040/294000c
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き(最新版)」https://www.mhlw.go.jp/content/001580139.pdf
横浜市立大学「SARS-CoV-2のウイルス形成に必須の膜タンパク質の構造を解明」 https://www.yokohama-cu.ac.jp/news/2022/202208ikeguchi.html
パナソニック株式会社「エアコンは室外の空気(外気)を取り込むの?」https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/9664
一般社団法人室内環境学会「新型コロナウイルスの感染対策に有用な室内環境に関連する研究事例の紹介」https://www.siej.org/sub/sarscov2v1.html
Q&A|飛沫感染・マイクロ飛沫・空気感染などについて
Q. 飛沫感染と空気感染は何が違うのですか?
A. 以前は「大きな粒子=飛沫感染」「小さな粒子=空気感染」と区別されていました。しかし2024年にWHOが定義を見直し、現在は粒子の大きさで区別せず、空気を介して感染するものをまとめて「空気を介した感染」と整理しています。
Q. マイクロ飛沫感染とは何のことですか?
A. マイクロ飛沫感染とは、新型コロナ流行時に日本で使われた用語で、小さな粒子による感染を指していました。現在はWHOの新しい定義では「感染性呼吸器粒子(IRPs)による空気を介した感染」と整理されています。
Q. WHOが2024年に変更した感染経路の新しい定義とは何ですか?
A. 感染者の口や鼻から出るすべての呼吸器粒子を「感染性呼吸器粒子(IRPs)」と呼び、それを吸い込んだり粘膜に付着したりして起こる感染を「空気を介した感染」とまとめました。
Q. 新型コロナウイルスは空気感染するのですか?
A. はい。現在は、新型コロナウイルスは空気中の感染性呼吸器粒子を吸い込むことで感染すると整理されています。厚生労働省もエアロゾル感染を認めています。
Q. 空気感染を防ぐために最も重要な対策は何ですか?
A. 室内の換気です。30分に1回以上、数分間窓を開けて空気を入れ替えることが推奨されています。空気をよどませないことが重要です。
Q. エアコンをつけていれば換気したことになりますか?
A. なりません。一般的な家庭用エアコンは室内の空気を循環させるだけで、外気との入れ替えは行いません。窓開け換気と併用する必要があります。
Q. エアコンのフィルターでウイルスは除去できますか?
A. 一般的な家庭用エアコンのフィルターは、ウイルスのような非常に小さな粒子を十分に捕集できない場合があります。機種やフィルター性能を確認することが大切です。
Q. 空気感染は長距離でも起こりますか?
A. はい。感染性呼吸器粒子を吸い込むことで感染する場合、距離に関係なく起こる可能性があります。換気が悪い室内では特に注意が必要です。
Q. 換気はどのくらいの時間、どのように行うのが効果的ですか?
A. 30分に1回以上、数分間、窓を2方向開けて空気の通り道をつくる方法が効果的です。毎時2回以上の換気が目安とされています。
Q. 換気以外に日常でできる基本的な感染対策は何ですか?
A. 手洗い、手指消毒、咳エチケット(適切なマスク着用)です。これらの基本的な衛生習慣を継続することが、感染リスクの低減につながります。














