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<汚れとお掃除の百科事典>洗剤の種類“合成洗剤”

2015.10.20

合成洗剤の特徴や歴史などについて

洗濯機の普及に伴い、家庭用洗剤として広まった合成洗剤。高い洗浄力や少ない量でも泡立つといったメリットがあるため、今や私たちの生活の必需品になりました。しかし合成洗剤には環境や人体への悪影響というデメリットも懸念されています。そこで今回は、合成洗剤の正体と懸念されている問題などについて詳しくご紹介していきます。

そもそも合成洗剤とは?

合成洗剤とは、洗浄成分として合成界面活性剤を使っている洗剤のことで、石鹸と同様、粉・固形・液体状のものがあります。なお、成分には合成界面活性剤以外にも、酵素や蛍光増白剤、再汚染防止剤といった副原料が配合されています。

合成洗剤の誕生から普及に至るまでの歴史

合成界面活性剤は19世紀から研究がはじまり、主に染料の助剤として利用されていました。その後、1917年に世界初の合成洗剤がドイツで誕生。原料は石灰でした。これは、第一次世界大戦中の同国において植物油が不足しており、別のものから洗剤を作らなくてはならなかったためです。ただし、洗浄力については現在のように優れてはいませんでした。
その後、第二次世界大戦中にアメリカで本格的な合成洗剤が登場。これはABSという合成界面活性剤を使ったもので、戦後一気に世界に広がります。そして、さまざまな開発が行われ成分や副原料が変化し、2000年代に入ると粉末だけでなく液状のものも登場。現在では、洗濯や食器洗い、シャンプー、体洗い、歯磨きなど、さまざまなところで利用されています。

合成洗剤が引き起こした環境問題

かつての合成洗剤には、成分であるABSが分解されずに河川などで発泡するという問題がありました。また、リン酸塩が含まれたものがそのまま河川に流され水中の肥料分濃度が上昇したことにより、生態系に異常をもたらす「富栄養化」の原因になったとも言われています。
こうした経緯もあり、1970年頃には合成洗剤の成分であるABSが、環境負荷の少ない界面活性剤に置き換えられました(近年はより毒性の弱いものも使われています)。また、1980年前後には、ゼオライトや酵素などをリン酸塩の替わりとして利用できる技術も開発され、合成洗剤にはリン酸塩が使われなくなります。しかし現在でも、合成洗剤は環境負荷に影響を及ぼすとして石鹸の使用を奨励する自治体もあるなど、その安全性について疑問視する声は途絶えていません。

懸念される人体への影響

合成洗剤が人体へ及ぼす影響については諸説あり、見解が分かれるのが実情です。肌荒れやアトピー性皮膚炎、脱毛といった症状の原因になるという説がある一方、低刺激性の合成洗剤であれば問題はない、という説もあります。また、アルカリ性の石鹸のほうが肌荒れが起きやすい、という専門家もいるようです。
とはいえ、通常使用はもちろん、予測のできる誤使用・誤摂取の範囲においては、ほぼ問題がないというのが一般的な考えとなっています。

リスクを加味したうえでの利用が大切

合成洗剤は石鹸に比べ、まだ歴史の浅い洗剤と言えます。そのため、今後長期間にわたり使用を続けた際、どのような影響が環境や生き物に及ぶのかは実証できていません。有用な洗剤として私たちの生活における衛生環境向上に役立ったのは間違いありませんが、こうしたリスクなども心に留めながら使用していきましょう。

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