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児童に健康被害も!?知ってますか?シックスクール症候群

2015.07.08

教室の写真

楽しい学校生活を送るために……適切な対策を

1学期も終盤に入り、学業の進捗やクラスの雰囲気など、学校の先生方は気を配るべきことが増えてきますが、忘れてはならないのが子供たちの健康管理です。近年、子供のアレルギーに対する理解が深まり、対策も講じられていますが、同じように深刻な問題とされている「シックスクール症候群」についてはご存知の方は少ないかもしれません。今回の「プロが教える職場・店舗の清掃方法とコツ」では、学校で健康被害をもたらす可能性があるシックスクール症候群の対策について紹介していきます。

シックスクール症候群の原因と症状

シックスクール症候群は、建材や接着剤などから発生する揮発性有機化合物(VOC)によって起こるさまざまなアレルギーのような症状の総称です。新築や建て替えをした建物で発生しやすいだけでなく、日常的に使用するワックスや洗剤が原因となることもあります。これは新しい建物ほど気密性が高く、ニオイや刺激のある物質が空気中に残留しやすいからです。
主な症状は目のかゆみや乾燥、涙が出るといった眼科的障害、喉の痛み、せきなどの末梢神経障害など。ひどい場合は皮膚炎やぜんそくを起こしたり、不安やイライラ、集中力の低下など精神的な影響が見られたりすることもありますから、学校側としても無視できません。もちろん症状は子供たちだけでなく、先生方をはじめとした職員(大人)に現れる可能性もあります。もともとアレルギーを持っている場合には、より注意が必要です。

学校ができるシックスクール症候群対策

文部科学省では平成14年2月に「学校環境衛生の基準」を改定し、ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物の検査や判定基準について定めました。しかし、例え空気中のこれらの濃度が基準値以下であっても、シックスクール症候群の症状が起こる可能性は充分考えられます。そこで、学校側が日常的に取り組める対策について紹介します。

日常的に教室等の空気環境を維持するよう努める

窓や欄間を開放し、空気の入れ替えを心がけましょう。子供たち自身に換気の必要性を説明し、窓の開閉を当番制にするなどしてもよいですね。また、カーテンや掲示物などで空気の通り道が塞がれていないかもチェックしましょう。

休日や長期休暇明け、特別教室を使用する時などは事前に充分な換気を

夏休み明けなど、しばらく使われていなかった教室は、空気が停滞して化学物質の濃度が高まっている恐れがあります。このような場合は、職員で手分けするなどして、子供たちの登校・使用前に窓を開けて換気を行うようにしましょう。

備品や教材の購入・使用には注意が必要

机や椅子、教室用の備品等は購入前に必ず素材をチェックしましょう。机・椅子等については、日本工業規格(JIS)・グリーン購入法に基づきホルムアルデヒドの放散量が一定量以下のものが使用されていますが、複数のメーカーの品を比較検討するとよいでしょう。各メーカーではMSDS(化学物質等安全データーシート)という、化学物質やそれらを含む原材料などの安全な取り扱いを目的とした情報を記載したものがあるので、取り寄せてみるのもひとつの手です。

ワックス・消臭剤は最低限で

学校環境の維持のため、床用ワックスや消臭剤は欠かせませんが、トルエンやキシレン、パラジクロロベンゼンといった化学物質が使用されている可能性は否めません。メーカーに含有物質を確認するとともに、ワックスがけは長期休み中など子供たちが直接触れる心配のない時期に行う、消臭剤は天然素材のものにするといった配慮が必要です。

学校が楽しく安全な場所になるように

シックスクール症候群はまだまだ一般的な認識が広がっていないことから、児童や生徒に体調不良などの症状が現れても「原因不明」とされることも少なくないようです。しかし、シックスクール症候群は子供たちだけでなく先生方にとっても大きな問題になり得ます。
まずは、こうしたリスクがあることを認識したうえで、楽しく健康的な学校生活を送るために、ぜひ積極的に対策に取り組んでいきましょう。

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